ispaceの目指す、群ロボットが月面探査に向かう未来:ロボットキーマンを訪ねて(7/7 ページ)
民間月面レース参加の次は、1000台の群ロボットで月面資源探査。ispaceの描く構想は壮大であり、実現するための知見も多く蓄えられている。「群ロボットで宇宙資源探査」の意図を尋ねた。
月で探す資源
月面での資源調査で資源が見つかったら、それは誰のものになるのだろうか。天体そのものの所有権は認めないという認識が一般的だが、ただ「宇宙で取れた資源について、所有権は発生する」というのが法学者の中での通説とのこと。
既にアメリカで、宇宙で取れた資源の所有権を認める法律(ただし、国内法として)の整備が始まっていたり、ヨーロッパが中心になって多国間で宇宙の資源の所有権についてどう考えるべきか、ワーキンググループでの議論が始まっていたりするという。
吉田氏 具体的に月面の何が資源なのかというと、私たちがいま見ている1つの可能性は「水」です。
月面は、アポロ時代の探査では「高真空で完全に乾ききっている、水のある可能性はほぼ皆無に等しい」と思われてきましたが、その後のいろいろな探査や観測で、特に月の南極、北極の領域で「氷」という形、永久凍土的な形で存在するという可能性が示されています。
袴田氏 水は人間が月面基地を作った際、生活するために必要という面もありますが、事業としての意味合いでいうと、燃料にすることができます。水を水素と酸素に分解すれば、ロケットの燃料になる。そういった需要が、これからどんどん出てくると考えられていますし、幾つかのプレイヤーはそういうことを言い出しています。
既にNASAが火星探査において、月で取れた水を利用して燃料補給する案を検討し始めています。地球から全ての燃料を持っていくのでは、膨大なコストになりますからね。もっとも、まだNASAとしてオーサライズされていない計画ですが。
ispace、ジグソーが共同で進める「宇宙群ロボット」の研究開発は、2017年初頭に初期モデル完成、2018〜23年にかけて行われる予定の月面資源探査での実運用を目指す。
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