なぜ第4次産業革命を推進する団体が乱立しているの?:いまさら聞けない第4次産業革命(4)(4/4 ページ)
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起こることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第4回では、各地で増える第4次産業革命推進団体について紹介したいと思います。
乱立する第4次産業革命推進団体
少し多すぎる気がするんですが……。なぜ、こんなに多くの団体があるんでしょうか。
確かに多く見えるわね。それにはIoTで必要となる技術が非常に幅広い範囲にわたるという点と、個別化された現場にひもづいていないと新たな成功モデルは見つけられないという点が理由としてあるかもしれないわ。
IoTで新たな成功モデルを実現するためには技術的に数多くの領域が必要となります。現場から情報を吸い上げるセンサー技術や通信技術、吸い上げた情報をまとめて管理する情報システム基盤、それらを分析する技術などです。これらを現場のオペレーションと併用できる形で成立させなければなりません。一方で抽象化された情報だけを集めても意味がありません。現場でいままでデータ化できなかった領域をデータ化できる点が特徴となりますので、個別の現場や個別のビジネスモデルに落とし込んだ形で使い方を考えなければなりません。
こうした背景から、技術的には「つながる」ことが必要な一方で分野や業界の「個別化」が必要となるために、推進団体が乱立するという状況が生まれているわけです。
だけど、実際には、それぞれの団体でも連携をしようという動きは増えているわ。今回紹介した日本の団体もそれぞれ連携する話になっているし、各国とも協力しようという動きは増えています。そこまで心配する必要はないかもしれないわね。
団体間協力などはもちろんですが、IICやインダストリー4.0どちらにも参加する企業も増えていますし、日本の3団体の協調なども進んでいます。また今回インダストリー4.0とRRIの協力なども発表されたことを考えると、それぞれ団体に差異はあるものの、世界が1つの動きに進んできたといえるのかもしれません。
こうした観点で見ると、団体間や国家間の囲い込み争いは既に終わっているといえるかもしれないわね。グーチョキパーツも迷っている間にどこかに入ってみたら?
国際標準化など、さまざまな面で規格争いなどが生じる可能性はありますが、まずはそれぞれが「つながる」という環境をどう作るか、というところに当面の議論は収れんしているようにも見えます。日本の製造業にとってはまずはこの「つながる」動きにどう接するかということを考える必要があるように思います。
次回は、第4次産業革命などで置いてきぼりになるのではないかと懸念されている中小企業に対する取り組みについて紹介したいと思います。
第5回:「第4次産業革命は大企業だけがもうかるんじゃないの?」
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