インダストリー4.0って何でこんなに注目されているの?:いまさら聞けない第4次産業革命(2)(1/4 ページ)
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起こることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第2回と第3回ではきっかけを生んだドイツの「インダストリー4.0の意義」を2つの切り口から紹介します。
本連載の趣旨
「第4次産業革命」や「インダストリー4.0」などの言葉を聞かない日はないほど、大きな注目を集めています。4番目の産業革命とされている通り、製造業の業態についても大きな影響を与える「第4次産業革命」ですが、その認識レベルや捉え方は置かれている立場や状況で大きく異なります。また「第4次産業革命とは結局何?」という人から「抽象論は分かったから具体的な技術の話が聞きたい」など求める情報レベルも大きく幅があるように感じています。
そこで本連載は、「いまさら聞けない第4次産業革命」とし、第4次産業革命で製造業が受ける影響や、捉える方向性などについて、分かりやすくご紹介していきたいと考えています。ただ、単純に解説していくだけでは退屈ですので、架空のメーカー担当者を用意し、具体的なエピソードを通じて、ご紹介していくつもりです。
本連載の登場人物
矢面 辰二郎(やおもて たつじろう)
自動車部品や機械用部品を製造する部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長。ある日社長から「君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われたことから、話が始まる。
印出 鳥代(いんだす とりよ)
ドイツのインダストリー4.0などを中心に第4次産業革命をさまざまな面で研究するドイツ出身の研究者。第4次産業革命についてのさまざまな疑問に答えてくれる。
*編集部注:本記事はフィクションです。実在の人物団体などとは一切関係ありません。
前回のあらすじ
第1回:「第4次産業革命って結局何なの?」
あらすじ概略
従業員200人規模の部品メーカー「グーチョキパーツ」の生産技術部長である矢面辰二郎氏はある日、社長から「新聞で読んだけど、君、うちも第4次産業革命をやらんといかん」と言われます。しかし、「第4次産業革命」といわれても「それが何なのか」や「どう自分たちの業務に関係するのか」がさっぱり分かりません。そこで、矢面氏は第4次産業革命研究家の印出鳥代氏に話を聞きに伺うことにしました。
さて前回は、矢面氏が疑問に思っていた「第4次産業革命とは何か」という点と、製造業として取り組むべき方向性について、印出氏が彼女なりの解釈で説明していましたね。
その内容を少し振り返ってみましょう。第4次産業革命は、蒸気機関の第1次、電気の第2次、コンピュータの第3次に続き、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)により巻き起こる産業構造の変化ということでした。そして、それにより従来人間が行っていた作業のいくらかの割合を機械やシステムが代行することになる一方で、新たな職種が生まれるということになります。
IoTには「見える化」「制御」「最適化」「自律化」の4つのフェーズがあるとされており、将来的には機械や工場が自律的に動くことになることが理想とされています。ただ、現実的にはその理想が実現できるような世界は10年以上先だと考えられています。印出氏は、まだまだ理想とする形までには遠く、現在進行形の状況だということを説明していましたね。
そして、印出氏は以下の点を強調していました
まずこのIoTの4つのフェーズで、効率化や新たなビジネス構築ができそうなところを考えてみるのが大事なんじゃない?
IoTにおいては誰もが認める正解例がないためにチャンスがあります。日本の製造業も早く正解例を見つけることができれば勝ち組になれるかもしれないという話でした。
さて、今回はこれらの第4次産業革命が注目を集めるきっかけとなった「インダストリー4.0の意義」について紹介したいと思います。なお、本連載では「第4次産業革命」と「インダストリー4.0」を、意味として使い分けて表記するつもりです。ドイツ連邦政府が進めるインダストリー4.0はもともと第4次産業革命という意味があります。ただ、本稿では「第4次産業革命」は一般用語として「IoTによる製造業の革新」を意味する言葉として使います。一方で「インダストリー4.0」はドイツでの取り組みを指すものとします。
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