なぜ第4次産業革命を推進する団体が乱立しているの?:いまさら聞けない第4次産業革命(4)(3/4 ページ)
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。しかし、そこで語られることは抽象的で、いまいちピンと来ません。本連載では、そうした疑問を解消するため、第4次産業革命で起こることや、必要となることについて分かりやすくお伝えするつもりです。第4回では、各地で増える第4次産業革命推進団体について紹介したいと思います。
日本での推進団体の取り組み
一方で日本でもこうした活動はあるのでしょうか。
日本でもこうした推進活動は進んでいるのですか?
日本でも2015年から積極的な取り組みが進んできたわ。政府が主導する団体としてはまず「ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)」と、「IoT推進コンソーシアム」があるわ。
ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)は、2015年5月に始動し、安倍政権の「日本再興戦略」の核となる「ロボット新戦略」を実践する団体として設立されました。その中で3つのワーキンググループ(WG)活動が進んでますが、その内の1つが「IoTによる製造ビジネス変革WG」です。同WGには日本企業を中心に製造業やICTベンダーなどさまざまな企業が参加していますが、主にインダストリー4.0が対象としている製造業のIoT活用による変革をテーマとしていることが特徴です※)。
※)関連記事:政府主導の“インダストリー4.0”対抗基盤「IoTによる製造ビジネス変革WG」が始動
日本とドイツの間では、2016年4月28日に政府間で「産業用サイバーセキュリティ」「国際標準化」「規制改革」「中小企業に対するIoT利用の支援」「IoTおよびインダストリー4.0に関する研究開発」「人材育成」の6項目において協力していく覚書を締結しましたが、民間については「インダストリー4.0プラットフォーム」とRRIが連携を図っていくことも同時に締結されたといいます※)。
※)関連記事:IoTで日独連携が成立、6項目で覚書締結へ
一方のIoT推進コンソーシアムは、経済産業省と総務省が協力して2015年10月に設立された団体です。こちらは製造業に限った話ではなく、全産業を対象としています。IoTの社会実装の実現とそのための技術開発、政府支援などを主目的としている団体です。対象範囲としてはIICと似ているといえるかもしれません※)。
※)関連記事:産官学が参画・連携するIoT推進コンソーシアムを設立
「緩やかな標準」を目指すIVI
その他にも団体があるのですか?
政府系以外だと、日本機械学会生産システム部門の「つながる工場」分科会が母体となった「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」があるわね。積極的な活動をしているわよ。
「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」は、日本機械学会生産システム部門の「つながる工場」分科会が母体となって発足。発起人となった法政大学デザイン工学部 教授 西岡靖之氏が理事長を務めており、さまざまな活動を進めています。IVIの特徴が「緩やかな標準」です。日本の製造業が実際に困っている点を競争領域と協調領域に分け、協調領域の話し合いの場を作り、“それぞれの困りごと”を起点に、似たような課題を抱えている企業の問題解決のリファレンスモデルを作ることを進めています※)。
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