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「IoTの困難さ」に直面するインダストリー4.0IoT観測所(21)(2/3 ページ)

第4次産業革命として注目される「インダストリー4.0」は、既に実践段階に入っている。技術的にはOPC UAベースでの実装が推奨されているが、意図する“しなやかさ”を実現するための技術的な困難は残されている。

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 RAMI4.0の原文はドイツ語で100ページもある骨太なもので、翻訳してもちょっと読むのに難渋するのだが、幸いな事にJETRO(日本貿易振興機構)がこれを日本語訳し、「インダストリー4.0実現戦略」として公開しているのでこれをベースに説明したい。

 RAMI4.0はよくPhoto02のような形で表現される。まずHierachy Level(X軸)とLife Cycle & Value Stream(Y軸)で平面を作り、この平面を積み重ねてLayer(Z軸)を構成するという構造だ。この3次元構造はヨーロッパというかドイツのお得意のもので、スマートグリッドの議論の際に出てくるSGAM(Smar Grid Architecture Model)とよく似ている(Three Key Points from IET Power in Unity Smart Grid conference)

 分野が多少異なっていても、標準化の方法論が近ければ分類の仕方も同じ、ということなのかもしれない。実際、戦略レポートを読むと、SGAMの方法論をIndustrie 4.0に当てはめたのがこの図だ、という話が出てくる。

Photo02
Photo02:RAMI4.0の3次元構造図。分かったような気にさせやすい図、という気もする……

 この図の見方であるが、基本的にはIndustrie 4.0のさまざまな要素をまずレイヤー(Layer)で切る形だ。ビジネスならビジネスに関する全てがBusiness Layerで完結するし、資産管理ならばAsset Layerで基本完結する。基本1つのLayer内に、相関性の強いものが含まれており、Layer間は弱いつながりを持つ。Eventは1つのLayer内、もしくは隣接する2つのLayer間でしか発生しない。個々のLayerの説明は省く(詳細はJETROの翻訳をご覧いただきたい)が、このLayerモデルに沿う形で、Industrie 4.0にまつわるさまざまな内容を、それぞれ分担して受け持っている形だ。

 もう少し具体的な、Industrie 4.0の階層モデルがこちら(Photo03)である。こちらの図で、色の薄いものはIEC 62264-1:2013とIEC 61512-1:1997、それにISA Drafy 88/95 Technical Reportなどからの引用であり、色の濃い「Work centers」や「Station/Control Device」などがIndustrie 4.0で追加された部分である。

 つまり基本はIEC 62264(製造作業におけるオブジェクトのモデル化)、それとIEC 61512(バッチ制御システムの標準化)が元になっており、ここにIndustrie 4.0で新たに要求が出たものを追加した、という形になっている事が分かる。

Photo03
Photo03:Enhanced Industrie 4.0のConnected World/Field Device/Productは、もともとのIECモデルには含まれて居ない領域である

通信プロトコルからみた、インダストリー4.0

 さて、この調子で細かく解説しているときりがない(というか、特集ページにある他の記事の方がより詳しい)ので切り上げるとして、IoTというかCommunication Protocolの話に話題を移したい。

 こちらの記事(インダストリー4.0がいよいよ具体化、ドイツで「実践戦略」が公開)では、“例えば「通信層」では「IEC 62541: OPC-UA」が決め打ちで推奨となっている”と紹介されている。

 これはRAMI 4.0の仕様書の序論に「コミュニケーションレイヤー実装のための手法」として「OPC UA:IEC 62541準拠」とあるからだ("Ansatz für die Realisierung eines Communication Layers ・OPC UA: Basis IEC 62541")。

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