新型「エクストレイル」の自動ブレーキ機能、価格は7万7700円に設定:安全システム
新型「エクストレイル」の価格情報が公開された。単眼カメラを用いた自動ブレーキ機能などを有する「エマージェンシーブレーキパッケージ」の価格は7万7700円。この価格設定は、安価な自動ブレーキ機能の搭載で先行した競合他社を強く意識したものだ。
日産自動車は2013年12月11日、SUV「エクストレイル」の新モデルを同年12月16日に発売すると発表した。税込み価格は、2WDモデルが224万9100円から、4WDモデルは225万9600円からとなっている。
新型エクストレイルは、2013年9月開催の「フランクフルトモーターショー2013」で初披露された。同年10月24日には、日本市場向けモデルに搭載される先進機能や、従来比で37%向上した16.4km/l(リットル)というJC08モード燃費なども明らかにされていた。ただし、価格情報だけは発売時に発表するとしていた。
各社の運転支援システムを強く意識して価格設定
新型エクストレイルには、走行速度が時速10〜80kmの範囲であれば前方の車両を(時速60km以下であれば歩行者も)検知して自動ブレーキを掛けて、衝突被害の軽減を可能にする「エマージェンシーブレーキ」を搭載している。時速30km以下であれば衝突回避が可能だ。この他に、「踏み間違い衝突防止アシスト」、「LDW(車線逸脱警報)」、「進入禁止標識検知」といった機能を1つにまとめた「エマージェンシーブレーキパッケージ」を装備するグレードが設定されている。
一般的に、エマージェンシーブレーキのような自動ブレーキ機能は、レーザーレーダーやミリ波レーダー、ステレオカメラ、またはこれらの組み合わせによって実現されていることが多い。しかし、エマージェンシーブレーキは、単眼カメラだけで実現しているため「お求めやすい価格」(日産自動車)になっているとしていた。
今回、エマージェンシーブレーキパッケージの価格は7万7700円に設定された。この価格設定は、安価な自動ブレーキ機能の搭載で先行した競合他社を強く意識したものだ。
エマージェンシーブレーキパッケージより安価なのは、レーザーレーダーを用いる運転支援システムになる。スズキの「レーダーブレーキサポート」が4万2000〜5万400円(関連記事:「ワゴンR」のJC08モード燃費が30.0km/lに、プリクラッシュも4〜5万円で搭載可)、ダイハツ工業の「スマートアシスト」が5万〜6万円(関連記事:新型「ムーヴ」の5万円プリクラッシュ、レーザーレーダーはデンソー製)。
ホンダが、新型「フィット」や「N-WGN」にサイドカーテンエアバッグなどを組み合わせて提供している「あんしんパッケージ」は6万円である(関連記事:新型「フィット」もレーザーレーダーで衝突回避、サイドエアバッグとセットで)。
一方、エマージェンシーブレーキパッケージより高価なのは、ミリ波レーダーやステレオカメラを用いるものだ。三菱自動車が「アウトランダー」に提供している「e-Assist」は、ミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせで9万5000円(関連記事:三菱自動車も“止まる”プリクラッシュを採用、「EyeSight」よりも安価に)。ステレオカメラを用いる富士重工業の「EyeSight(ver.2)」は10万5000円だ(関連記事:開発中止の危機を乗り越えヒット商品に、「EyeSight」成功の原動力とは)。
トヨタ自動車が「クラウン」向けに展開している、新型ミリ波レーダーを使って速度差60kmからの衝突回避も可能にする「アドバンストパッケージ」も10万5000円となっている(関連記事:トヨタも低価格プリクラッシュ市場に本格参入、新型「クラウン」は10万円で提供)。
マツダは新型「アクセラ」や「アテンザ」に先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を展開(関連記事:3種類のレーダーとカメラで9つの安全機能を実現、マツダの「i-ACTIVSENSE」)。アテンザでは、ミリ波レーダーを用いる機能をまとめた「セーフティパッケージ1」が11万7600円、単眼カメラを用いる機能をまとめた「セーフティパッケージ2」が5万2500円となっている。
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