新型「ムーヴ」の5万円プリクラッシュ、レーザーレーダーはデンソー製:安全システム
ダイハツ工業の新型「ムーヴ」に採用された、実質価格が5〜6万円と安価なプリクラッシュセーフティシステム「スマートアシスト」には、デンソーが新開発したレーザーレーダーがセンサーとして用いられている。
デンソーは2013年5月10日、前方車両への追突事故を防ぐプリクラッシュセーフティシステム(プリクラッシュ)向けに、レーザーレーダーを新たに開発したと発表した。2012年12月にダイハツ工業が発売した新型「ムーヴ」に採用された、実質価格が5〜6万円と安価なプリクラッシュ「スマートアシスト」のセンサーとして用いられている(関連記事:新型「ムーヴ」の燃費は「ワゴンR」以上、走行性能でも「N-ONE」に対抗)。
スマートアシストは、時速30km以下の走行速度であれば、前方車両との衝突回避や衝突被害の軽減が可能な「低速域衝突回避支援ブレーキ」を備える。他にも、誤ってアクセルペダルを踏み込んだ場合にエンジン出力を抑制する「誤発進抑制制御機能」や、信号待ちや渋滞で先行車が動き出したことをドライバーに知らせる「先行者発進お知らせ機能」も持つ。ただし、車載カメラやレーザーレーダー、ミリ波レーダーをセンサーとして用いる他社の運転支援システムで一般的なクルーズコントロール機能は省かれている。上記3つの機能を実現するためのセンサーデバイスとして採用されたのが、今回発表したレーザーレーダーなのだ。
新開発のレーザーレーダーは、時速30km以下という低速域での使用を念頭にスキャンする領域や距離を設定し、赤外線レーザーの発振機構を簡素化した。従来はレーザーレーダーと別ユニットとなっていたECU(電子制御ユニット)も、信号処理基板として集積してレーザーレーダーユニット内に一体化している。さらに小型レンズを採用するなどして、求められる性能を確保した上で小型化と低コスト化を実現したという。外形寸法は、幅132×高さ134×奥行き46mmである。
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