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新型「ムーヴ」の燃費は「ワゴンR」以上、走行性能でも「N-ONE」に対抗エコカー技術(1/3 ページ)

ダイハツ工業の新型「ムーヴ」は、「e:Sテクノロジー第2弾」の搭載により、スズキの「ワゴンR」を上回る29.0km/lというJC08モード燃費を達成。5〜6万円を追加すれば。時速30km以下で動作する衝突回避支援システムも装備できる。さらに、ホンダの「N-ONE」に対抗すべく、足回り部品の改善による走行性能の向上も果たした。

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ダイハツ工業の新型「ムーヴ」

 ダイハツ工業は2012年12月20日、トールワゴンタイプの軽自動車「ムーヴ」と「ムーヴ カスタム」の新モデルを発表した。独自の低燃費技術をさらに進化させた「e:S(イース)テクノロジー第2弾」の搭載による大幅な燃費向上に加えて、時速30km以下で動作する衝突回避支援システムの採用や、基本性能の向上、外形デザインの変更などにより、フルモデルチェンジに近いビッグマイナーチェンジを施した。価格は、ムーヴの「Lグレード」が107万円から、ムーヴ カスタムの「Xグレード」が130万円からとなっている。日本市場での月間販売目標台数は1万2000台。

ダイハツ工業の新型「ムーヴ」(左)と「ムーヴ カスタム」(クリックで拡大) 出典:ダイハツ工業

「イーステクノロジー第2弾」で燃費向上

 新型ムーヴは、トールワゴンタイプ軽自動車のFFモデルのJC08モード燃費でトップとなる、29.0km/l(リットル)を達成した。2011年11月発表のマイナーチェンジモデルの27.0km/lから、2km/lの燃費向上を実現した。

新型「ムーヴ」と従来モデルの燃費比較
新型「ムーヴ」と従来モデルの燃費比較(クリックで拡大) 出典:ダイハツ工業

 燃費向上の中核技術となったのが、パワートレインにサーモマネジメント(熱管理)技術を適用したイーステクノロジー第2弾である。熱管理技術としては、軽自動車で初となるCVT(無段変速機)サーモコントローラの搭載、エンジンとCVTの最適統合制御、エンジンの気筒別燃焼制御、吸気温度の低減などが含まれている。

 CVTサーモコントローラは、CVTの潤滑に用いるCVTフルードを、エンジン冷却水の熱を使って温めるシステムである。CVTフルードは、エンジンオイルなどと比べて、潤滑性能を最大限発揮できる温度に温まるまでの時間が長い。それまでの間は、走行中のエンジンに大きな負荷が掛かることになる。さらに、冷えたCVTフルードを用いてギヤなどを回転させると、エンジンに余分な負荷が加わってしまう。これに対して、CVTサーモコントローラを使えば、CVTフルードを素早く温めて常に最適な温度に保てるので、エンジンに掛かる負荷が大幅に軽減され、燃費を向上できる。

CVTサーモコントローラの仕組み
CVTサーモコントローラの仕組み(クリックで拡大) 出典:ダイハツ工業

 また、エンジンとCVTの最適統合制御では、CVTサーモコントローラによるCVTフルードの温度制御に応じて、エンジンの燃料噴射やCVTの変速制御を最適化している。エンジンの燃料延焼では、従来のイーステクノロジーで用いていたEGR(排気再循環)量の制御によりポンピングロスを低減する「i-EGR」に加えて、気筒ごとの点火タイミングを制御して燃焼状態を最適化する技術を導入した。さらに、エンジンルーム内にうまく風を導いて吸気温度を低減することで、吸気の熱膨張を抑えて燃焼効率を高めている。

 加えて、アイドルストップシステム「エコアイドル」でエンジンが停止する車速タイミングを、時速7km以下から時速9km以下に変更した。これにより、アイドルストップ時間が増加するので、低燃費化に貢献できるという。

「エコアイドル」の改良ポイント
「エコアイドル」の改良ポイント(クリックで拡大) 出典:ダイハツ工業

 これらの他、従来比で粘度を約26%低減したCVTフルードの採用や、CVTの変速ギヤ比のハイギヤ化、フロント意匠の変更による空力改善、車両の全高を1635mmから1620mmに低減したことによる走行抵抗の改善によって、29.0km/lというJC08モード燃費を実現している。

 競合車種であるスズキの「ワゴンR」は、2012年9月のフルモデルチェンジで、ブレーキ回生システム「ENE-CHARGE(エネチャージ)」などの搭載により、28.8km/lというJC08モード燃費を実現していた(関連記事1)。新型ムーヴは、熱管理技術の採用によって、ワゴンRの燃費を0.2km/l上回ることに成功した。

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