新型「ムーヴ」の燃費は「ワゴンR」以上、走行性能でも「N-ONE」に対抗:エコカー技術(2/3 ページ)
ダイハツ工業の新型「ムーヴ」は、「e:Sテクノロジー第2弾」の搭載により、スズキの「ワゴンR」を上回る29.0km/lというJC08モード燃費を達成。5〜6万円を追加すれば。時速30km以下で動作する衝突回避支援システムも装備できる。さらに、ホンダの「N-ONE」に対抗すべく、足回り部品の改善による走行性能の向上も果たした。
プリクラッシュの価格は5万円
新型ムーヴとムーヴカスタムは、時速30km以下で動作するプリクラッシュセーフティシステム「スマートアシスト」を全モデルで選択できる。従来は、ターボ搭載車であるムーヴ カスタムの「カスタムRS」グレードのみ選択可能だったオプション装備「インテリジェントドラインビングアシストパック」で実現していた機能である。
インテリジェントドラインビングアシストパックでは、クルーズコントロール機能にも利用できるように検知距離の長いレーザーレーダーを採用しており、価格は31万5000円と高価だった。今回のスマートアシストでは、クルーズコントロール機能を省くとともに、時速30km以下で動作するように制限することで、検知距離の短いレーザーレーダーに変更し、低価格化を実現した。スマートアシスト搭載モデルと非搭載モデルの価格差は5〜6万円に抑えられている。
スマートアシストのプリクラッシュは、時速4〜30kmの範囲で走行している最中に先行車両を認識する。速度差が時速20km以内であれば衝突回避が可能で、時速20〜30kmの範囲では衝突被害を軽減する。プリクラッシュの他にも、時速10km以下で走行中に前方4m以内に壁や建物がある状況で、誤ってアクセルペダルを踏み込んだ場合にエンジン出力を抑制する「誤発進抑制制御機能」や、信号待ちや渋滞で先行車が動き出したことをドライバーに知らせる「先行者発進お知らせ機能」も備えている。
スマートアシスト搭載モデルには、全モデルに標準搭載されているABS(アンチロックブレーキシステム)に加えて、加速時のスリップを防ぐTRC(トランクションコントロール)、旋回時の横滑りを防止するVSC(横滑り防止装置)も搭載されている。
なお、従来は、インテリジェントドラインビングアシストパックによってプリクラッシュ機能を搭載できたカスタムRSグレードのみ、スマートアシスト搭載モデルが用意されていない。ただし、サイドエアバッグとカーテンシールドエアバッグ、TRC、VSCをパッケージにした「セーフティパック」(10万5000円)をオプション装備として提供している。
軽自動車として競合するわけではないものの、レーザーレーダーを用いた衝突回避支援システムを標準装備する同価格帯の小型車としてはVolkswagenの「up!」がある。up!の価格は149万円からであるのに対して、ムーヴのスマートアシスト搭載モデルは113万円からと36万円安価である。
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