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「ワゴンR」のJC08モード燃費が30.0km/lに、プリクラッシュも4〜5万円で搭載可「ムーヴ」と「DAYZ/eK」を上回る(1/2 ページ)

スズキは、トールワゴンタイプの軽自動車「ワゴンR」と、ワゴンRのカスタムモデル「ワゴンRスティングレー」に大幅な改良を施し、JC08モード燃費でクラストップとなる30.0km/l(リットル)を達成した。さらに、レーザーレーダーで前方車両との衝突を回避できる「レーダーブレーキサポート」を、4万2000円〜5万400円という低価格で装備可能になった。

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スズキが改良発売する「ワゴンR」

 スズキは2013年7月16日、2012年9月にフルモデルチェンジしたトールワゴンタイプの軽自動車「ワゴンR」と、ワゴンRのカスタムモデル「ワゴンRスティングレー」に大幅な改良を施し、JC08モード燃費でクラストップ(全高1550mm以上の軽自動車)となる30.0km/l(リットル)を達成したと発表した。加えて、時速5〜30kmの低速走行時に、レーザーレーダーによって前方車両との衝突を回避できる「レーダーブレーキサポート」が、4万2000円〜5万400円という低価格でオプション搭載可能になった。税込み価格は、JC08モード燃費30.0km/lを達成したワゴンRの「FXグレード」の2WD/CVT(無段変速機)モデルが110万9850円、ワゴンRスティングレーの「Xグレード」の2WD/CVTモデルが134万4000円となっている。月間販売目標台数はワゴンRとワゴンRスティングレーの合計で1万6000台。

スズキが改良発売する「ワゴンR」(左)と「ワゴンRスティングレー」。ワゴンRの写真は発売20周年記念の特別仕様車を使用した(クリックで拡大) 出典:スズキ

軽トールワゴンの激しい競争を勝ち抜くために

 2012年9月発売のワゴンRのJC08モード燃費は28.8km/l。リチウムイオン電池と高出力オルタネータを用いるブレーキ回生システム「ENE-CHARGE(エネチャージ)」や、アイドルストップ時にも蓄冷材を通して冷風を室内に送れる「ECO-COOL(エコクール)」の搭載によって、従来モデルの23.6km/lから22%向上したことが特徴となっていた(関連記事:「ワゴンR」の燃費が新技術で28.8km/lに、時速13km以下でアイドルストップ)。

 しかし2012年12月、ダイハツ工業がワゴンRの長年競合してきた「ムーヴ」に大幅な改良を施して発売。独自の低燃費技術をさらに進化させた「e:S(イース)テクノロジー第2弾」の搭載によって、JC08モード燃費は29.0km/lを達成し、ワゴンRを上回ってみせた。さらに、時速30km以下で動作するプリクラッシュセーフティシステム(プリクラッシュ)「スマートアシスト」を5〜6万円という低価格で用意した(関連記事:新型「ムーヴ」の燃費は「ワゴンR」以上、走行性能でも「N-ONE」に対抗)。

 2013年6月には、日産自動車と三菱自動車が共同開発した「DAYZ」と「eK」が、ワゴンRやムーヴ、ホンダの「N-ONE」などが競うトールワゴンタイプの軽自動車市場に参入。JC08モード燃費は、ムーヴよりも良好な29.2km/lを達成した(関連記事:日産と三菱自の共同開発軽自動車、JC08モード燃費はクラストップの29.2km/l)。

 ムーヴの進化、DAYZ/eKの参入により、スズキはワゴンRの商品力をさらに高める必要があった。1年を満たずに改良新発売されるワゴンRは、燃費をさらに1段階改善するとともに、価格が4〜5万円のプリクラッシュを採用することで対抗している。

エンジンとCVTは「アルト エコ」と同じ改良を施す

 28.8km/lから30.0km/lに燃費を向上するために3つの改良を施した。1つ目となるエンジンの摩擦抵抗の低減では、「R06A型エンジン」のタイミングチェーンを細幅化して摩擦抵抗を低減するとともに軽量化も実現した。2つ目のパワートレインの協調制御では、副変速機構付CVTについて、VVT(可変バルブタイミング機構)などのエンジン制御とCVT制御を最適化し、よりエンジン効率の良い回転域で走行できるようにした。また、CVTのディファレンシャルケースの軽量化も図った。

 これら2つの改良は、2013年3月に発売した「アルト エコ」と同じものだ。アルト エコは、33.0km/lという良好なJC08モード燃費を達成ている。

 3つ目は、エンジンアンダーカバーの追加による空気抵抗の低減である(非ターボ搭載車の2WD/CVTモデルのみ)。

「MRワゴン」もJC08モード燃費30.0km/lを達成した。写真は女性向けに新たに設定したモデル「MRワゴン Wit」
「MRワゴン」もJC08モード燃費30.0km/lを達成した。写真は女性向けに新たに設定したモデル「MRワゴン Wit」(クリックで拡大) 出典:スズキ

 なお、スズキはワゴンRと合わせて、同じトールワゴンタイプの軽自動車である「MRワゴン」を改良して発売する。MRワゴンも、エネチャージやエコクールの搭載、エンジンやパワートレイン協調制御の改良によって、ワゴンRと同じJC08モード燃費30.0km/lを達成している。

 MRワゴンといえば、日産自動車に、トールワゴンタイプの軽自動車「モコ」としてOEM供給されていることでも知られている。ただし日産自動車は、軽自動車の供給元を三菱自動車中心に変更していること、モコと競合するトールワゴンタイプの軽自動車であるDAYZを発売したばかりであることから、今回改良発売するMRワゴンをベースにしたモコは当面発売されないとみられる。

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