次世代「アイサイト」は赤信号を認識できる、速度差50kmでも衝突回避が可能に:安全システム
富士重工業の次世代「EyeSight(アイサイト)」は、先行車両との衝突回避が可能な速度差を時速30kmから50kmに向上し、赤信号や先行車両のブレーキランプなどを認識しての運転支援などが行えるようになった。2014年に国内で発売予定の新型車から搭載を始める。
富士重工業は2013年10月2日、ステレオカメラを用いた運転支援システム「EyeSight(アイサイト)」の次世代システム(以下、次世代アイサイト)を開発したと発表した。ステレオカメラの視野角と認識可能な距離を40%拡大するとともに、イメージセンサーをモノクロからカラーに変更。先行車両との衝突回避が可能な速度差を時速30kmから50kmに向上し、赤信号や先行車両のブレーキランプなどを認識しての運転支援などが行えるようになった。次世代アイサイトは、2014年に国内で発売予定の新型車から搭載を始め、順次展開を広げる予定である。
次世代アイサイトで改良された機能や新機能は以下の通り。まず、先行車両などの前方障害物との衝突を回避、もしくは衝突を避けられない場合に被害を可能な限り軽減する「プリクラッシュブレーキ/プリクラッシュブレーキアシスト」は、動作する速度範囲を拡大した。現行のアイサイト(アイサイト(ver.2))は、前方障害物との速度差が時速約30km以下であれば衝突を回避、速度差が時速約50km以下であれば衝突被害を軽減できる。これに対して、次世代アイサイトは、衝突回避可能な速度差を時速約50km以下に、衝突被害を軽減する速度差を時速約70km以下と、動作範囲をそれぞれ時速約20km分拡大している。
次は、走行中の道路上の白線を認識して車線の中央を維持する「レーンキープアシスト」である。レーンキープアシストには、車線中央維持と車線逸脱抑制の2つの機能がある。車線中央維持は、同一車線内の先行車両を認識して追従走行する従来機能の「全車速追従機能付クルーズコントロール」が動作していて、時速約65km以上で走行車線両側の白線を認識している状態で走行している場合に、車線内の中央を維持するように、ステアリングの自動操舵を行う。ただし、ドライバーのステアリング操作している状態を常に検知しており、無操作状態と判定した時には車線中央維持の機能を停止する。
一方、車線逸脱抑制は、高速度路などを時速約65km以上で走行している場合に、車線変更のための方向指示器などの操作を行わずに車線からはみ出しそうになると、表示と警報でドライバーに知らせる従来機能の「車線逸脱警報」に加えて、ステアリングにトルクを加えて車線内側方向に戻るような操舵制御を行い、車線の逸脱を抑制する。
先述した全車速追従機能付クルーズコントロールについても、先行車両への加速/減速応答性を高め、車両割り込みへの対応力やコーナー追従性を高めた。ステレオカメラのカラー化により、先行車両のブレーキランプの点灯状態を検出し、従来よりも早めに減速することが可能になった。
他の新機能としては、「AT誤後進抑制制御」と「危険回避アシスト」がある。AT誤後進抑制制御では、後退時のアクセルの急な踏み込みまたは高い後退速度を検出した場合に、ドライバーに表示と警報音で知らせると同時にエンジン出力を制限して、急な後退走行を抑制する。危険回避アシストは、前方障害物と衝突可能性が高いと判断した場合に、横滑り防止装置と連携した車両統合制御技術により、ドライバーの衝突回避操舵をアシストする機能だ。
アイサイトの機能 | 次世代 | ver.2 |
---|---|---|
プリクラッシュブレーキ | 速度差が時速約50kmまで | 速度差が時速約30kmまで |
プリクラッシュブレーキアシスト | 速度差が時速約70kmまで | 速度差が時速約50kmまで |
レーンキープアシスト(車線中央維持) | ○ | × |
レーンキープアシスト(車線逸脱抑制) | ○ | × |
全車速追従機能付クルーズコントロール | ○(性能向上+ブレーキランプ点灯を検出) | ○ |
AT誤後進抑制制御 | ○ | × |
危険回避アシスト | ○ | × |
AT誤発進抑制制御 | ○ | ○ |
車間距離警報 | ○ | ○ |
車線逸脱警報 | ○ | ○ |
ふらつき警報 | ○ | ○ |
先行車発進のお知らせ | ○ | ○ |
表1 次世代アイサイトと現行のアイサイト(ver.2)の機能比較 |
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