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3種類のレーダーとカメラで9つの安全機能を実現、マツダの「i-ACTIVSENSE」安全システム

マツダの先進安全技術「i-ACTIVSENSE」は、3種類のレーダーとカメラをセンサーデバイスとして用いることで9つの安全機能を実現している。新型「アテンザ」は、これら9つの安全機能を全て搭載する予定だ。

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「i-ACTIVSENSE」を搭載する新型「アテンザ」

 マツダは2012年9月21日、東京都内で記者会見を開き、自動車を運転中のドライバーに周辺の状況を認知しやすくしたり、事故が避けづらい場合に衝突回避や被害軽減を実現したりできる先進安全技術「i-ACTIVSENSE」を発表した。同技術は、2012年内に発売する新型「アテンザ(海外名Mazda6)」に搭載される。


マツダの素利孝久氏
マツダの素利孝久氏

 同社の執行役員で車両開発本部長を務める素利孝久氏は、「当社の技術開発の長期ビジョン『サステイナブルZoom-Zoom宣言』では、『走る喜び』だけでなく、『優れた環境安全性能』も顧客に提供することもうたっており、安全技術の開発にも力を入れてきた。i-ACTIVSENSEは、これまでに当社が開発してきた9つの安全機能の総称で、日本市場向けの新型アテンザには9つ全てを搭載する予定だ。今後発表する新車にも、仕向け地や車種ごとに求められる仕様などに合わせて、i-ACTIVSENSEの各安全機能を展開していく」と語る。


基礎となる安全思想

 i-ACTIVSENSEは、「Mazda Proactive Safety(マツダ プロアクティブ セーフティ)」という安全思想を基に開発が進められた。同思想では、自動車運転における「認知」、「判断」、「操作」という3つのステップの中でも、ドライバーが正しい「認知」と「判断」を行えるようにサポートすることを主眼に置いている。ただし、「人間はどうしてもミスを犯す。そういった万が一のときのために、事故被害を軽減するシステムも開発した」(素利氏)という。

左の図は、マツダの安全思想「Mazda Proactive Safety」の概要。「i-ACTIVSENSE」は、「ドライバーに危険を気付かせ、安全運転をサポート」する領域と、「事故の被害を軽減」する領域をカバーしている。右の図は、i-ACTIVSENSEで使用するセンサーデバイスと、各センサーデバイスに対応する安全機能を示している。(クリックで拡大) 出典:マツダ

 i-ACTIVSENSEの9つの安全機能は表1の通りである。センサーデバイスとしては、76GHz帯の周波数を用いるミリ波レーダー、24GHz帯の周波数を用いる準ミリ波レーダー、近赤外線レーザーレーダー、カメラを使用している。各安全機能は、これらのセンサーデバイスを1つだけ使って実現しており、複数のセンサーデバイスの情報を用いるセンサーフュージョンは利用していない。

安全技術の領域 安全機能の名称 センサーデバイス 安全機能の詳細
運転支援技術 マツダ レーダー クルーズコントロール(MRCC) ミリ波レーダー 先行車との速度差や車間距離を認識し、設定した車速内で車間距離を自動で調整・維持することで、高速道路などでドライバーの負担を軽減する。
認知支援技術 前方衝突警報システム(FOW) ミリ波レーダー 先行車を検知し、ドライバーに衝突の危険性を知らせ、衝突回避をサポートする。
車線逸脱警報システム(LDWS) カメラ 道路上の白線を検知し、車両が意図せず車線を逸脱することを予測してドライバーに警告する。
リアビークルモニタリングシステム(RVM) 準ミリ波レーダー 隣(左右)のレーンや後方からの接近車両を検知し、ドライバーに車線変更時の危険を知らせる。
ハイビームコントロールシステム(HBC) カメラ 先行車や対向車を検知し、ヘッドランプのハイビーム/ロービームを自動で切り替え、夜間の視認性を確保し危険回避をサポートする。
アダプティブフロントライティングシステム(AFS) ステアリング角度と車速 ステアリングの角度と車速に応じて、ヘッドランプの向きを自動的にコントロールし、カーブや交差点などで進行方向を早めに照射して夜間時の安全運転をサポートする。
衝突回避支援・被害軽減技術 スマートブレーキサポート(SBS) ミリ波レーダー 時速15km以上の速度域での走行中に、先行車と衝突の危険性がある場合、自動ブレーキにより減速を行い被害軽減を図る。先行車との速度差が時速20〜25kmであれば、衝突回避も可能。
スマートシティブレーキサポート(SCBS) レーザーレーダー 時速4〜30kmの速度域での走行中に、先行車と衝突の危険性がある場合、自動ブレーキにより減速・停止し、衝突回避または被害軽減を図る。
AT誤発進抑制制御 レーザーレーダー 前方に障害物が検知された状態で、必要以上にアクセルを踏み込んだ場合、警告音とメーター表示でドライバーに注意を促すとともに、エンジン出力を抑え急発進を抑制する。
表1 「i-ACTIVSENSE」の9つの安全機能

 なお、個別の安全機能は、既に同社の車両に搭載されている。ミリ波レーダーを用いるMRCCとFOW、SBSは、2006年発売のミニバン「MPV」に初めて採用された。このMPVは、AFSも搭載している。準ミリ波レーダーを用いるRVMは、2008年発売のアテンザで初めて採用された。レーザーレーダーを用いるSCBSとAT誤発進抑制制御は、2012年2月に発売したばかりの「CX-5」が初採用の車種となっている。

 カメラを使うLDWSとHBCは、日本市場向けの車両では新型アテンザが初めて搭載することになる。ただし、欧州市場向けのCX-5で既に採用された実績がある。

 i-ACTIVSENSEの開発では、ティア1サプライヤの協力も得た。ミリ波レーダーを用いる安全機能はデンソーと、準ミリ波レーダーを用いるRVMはドイツのHella(ヘラ―)と、レーザーレーダーやカメラを用いる安全機能はドイツのContinental(コンティネンタル)と共同で開発したという。

歩行者認識機能は2016年までに開発

マツダの大村博志氏
マツダの大村博志氏

 i-ACTIVSENSEで実現できていない安全機能としては、歩行者認識が挙げられる。これについては、「ステレオカメラによる実用化を検討している。2016年までの市場投入を目標に開発を進めているところだ」(マツダ 車両開発本部 車輛システム開発部 主幹の大村博志氏)という。これと同時期を目標に、時速50〜60kmの速度域から自動ブレーキによる衝突回避が可能なシステムも開発している。

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