巨額減損、トップ辞任…… “有事”のニデック新社長が語った「原点回帰」:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
ニデックが記者会見を開き、社長交代および発表を延期していた決算内容に関して説明した。3時間を超えた記者会見の中で、本稿では新たに社長執行役員に就任した戒田理夫氏の発言を中心に紹介する。会見では、創業者の永守重信氏に言及する場面もあった。
「夢を与えてくれた」創業者への思いと新ニデックへの決意
戒田氏は大学卒業後、リードエレクトロニクス(現ニデックアドバンステクノロジー)に入社し、日本電産リード(現ニデックアドバンステクノロジー) 代表取締役社長などを務め、2024年にニデックの専務執行役員 最高技術責任者に就任した。
70歳での社長就任に当たっては、「今は“有事”の状態だ。私がその有事対応ができる数人の中の1人だったと理解している。グループ10万人の従業員を抱える中、50年の職業人生で最後の奉公、貢献として引き受けた」と戒田氏は語る。
報道陣に問われる形でニデック創業者である永守重信氏に言及する場面もあった。
「永守氏とは(当時の日本電産がリードエレクトロニクスに資本参加した)1997年に出会い、日本電産リードの株式上場という大きな仕事もさせてもらった。ある意味で、当時40人程度の小さな会社に、大きな夢を与えてくれた。ニデックグループの中で、ニデックアドバンステクノロジーは、非上場から上場した唯一の会社であり、そういった面では非常に感謝している」(戒田氏)
ただ、不正会計問題を調査する第三者委員会の調査報告書では「短期的な利益を最優先する企業風土」や「永守氏の意向を優先する風土」「営業利益目標の達成に向けた強すぎるプレッシャー」が不適切会計の背景として指摘された。
それに対して戒田氏は「事業をやる上で、どこの企業でもプレッシャーのない事業はない。受け取った側で、それをどのように解釈したか、にもよる。ニデックのグループの中で、仮に全てに対して同じプレッシャーがかかっていたとしても、正しく行っている事業体もたくさんある。風土にしてもプレッシャーにしても簡単には語れないと思っている。海外にはニデックより歴史のあるグループ会社があり、100年企業もたくさんある。旧体制では、それぞれのブランドをリスペクトしていた。今後は、それぞれのブランドを守りながらガバナンスを構築していくというのが、新しい風土になっていく」(戒田氏)
自身については第三者委員会からは「1秒もヒアリングを受けていない」として、潔白を語った。
各事業領域に最高技術責任者(CTO)を配備し、グループ内のCTOサミットなどを通じて、グローバルの各拠点に散らばるグループ内の技術を有機的につなぎ合わせ、共通プラットフォームで活用していく取り組みを始めている。同様の取り組みはCFO(最高財務責任者)やCLO(最高法務責任者)でも始まろうとしている。「グループ内で互いの技術を共有できていない。それらのプラットフォームを構築して、成長性の高い分野に展開していきたい」(戒田氏)。
「技術はうそはつかない」と戒田氏は強調する。「技術は1〜2日ではできない。人づくりがモノづくりという基本に立ち返り、技術を磨いていきたい。この技術がないと世界が困るという会社にしていきたい」(戒田氏)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ニデックが社長辞任、財務報告に「適切とは言いかねる言動」 後任は専務の戒田氏
ニデックは代表取締役社長執行役員 兼 最高経営責任者の岸田光哉氏が辞任したことを発表した。なお、新たな社長執行役員には専務執行役員 最高技術責任者の戒田理夫氏が就任する。
800件以上の品質不正が判明したニデック 不適切行為の9割は3つのBUで発生
ニデックは、同社グループの生産拠点や開発拠点を対象とした「品質総点検」で確認された品質不正の疑いに関して、外部専門家で構成される調査委員会から受領した調査結果の内容と、今後の事業方針について説明した。本稿では、調査委員会による調査報告の内容について紹介する。
ニデックが機構改革、ソフト開発拠点新設やサプライチェーン網の刷新へ
ニデックは10月1日付の機構改革と人事異動を発表した。最高技術責任者(CTO)直轄の組織として、ソフトウェア技術開発センターを新設する。併せて、サプライチェーン責任者傘下の組織も再編する。
社内論理よりも顧客を第一に考える企業へ ニデックの「再生」に向けた事業施策
ニデックは、同社グループの生産拠点や開発拠点を対象とした「品質総点検」で確認された品質不正の疑いに関して、外部専門家で構成される調査委員会から受領した調査結果の内容と、今後の事業方針について説明した。本稿では、ニデックによる事業再生に向けた施策/方針について紹介する。
ニデックは会計に加え品質でも不正、家電用モーター中心に1000件超の疑い
ニデックが家電用モーターを中心とする一部製品で判明した品質に関する不適切行為について説明。一連の不適切会計問題に対応するために設置した「ニデック再生委員会」が実施した品質総点検に対して、既に1000件以上の品質不適切行為の疑いが確認されているという。
ニデックの品質不正から考える、これからの製造業の経営の在り方
“対岸の火事”ではなく経営手法について考えるきっかけとするべきなのかもしれません。
