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ニデックは会計に加え品質でも不正、家電用モーター中心に1000件超の疑い品質不正問題(1/2 ページ)

ニデックが家電用モーターを中心とする一部製品で判明した品質に関する不適切行為について説明。一連の不適切会計問題に対応するために設置した「ニデック再生委員会」が実施した品質総点検に対して、既に1000件以上の品質不適切行為の疑いが確認されているという。

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 ニデックは2026年5月13日、東京都内とオンラインで会見を開き、家電用モーターを中心とする一部製品で判明した品質に関する不適切行為について説明した。一連の不適切会計問題に対応するため2025年10月30日に設置した「ニデック再生委員会」が、2026年1月8日から実施した品質総点検に対して、既に1000件以上の品質不適切行為の疑いが確認されているという。会見同日に開催した取締役会で、この品質問題の事実関係や原因の究明、改善策の検討を目的とする調査委員会の設置を決議した。調査委員会による調査は2026年8月末をめどに完了する予定だ。

ニデックの岸田光哉氏
ニデックの岸田光哉氏(2025年11月の決算会見の写真)

 ニデック 代表取締役社長執行役員 CEOの岸田光哉氏は「品質は製造業であり当社グループの根幹であり、今回の問題は極めて重く受け止めている。会計不正問題に続き多大なるご心配とご迷惑をお掛けしていることを心より深くおわび申し上げる。顧客に対しては、順次連絡と説明をしており、現時点で直ちに製品機能や安全性に影響する事案は確認されていない。当社は“必ず正しくやる”企業に生まれ変わるために改善計画を更新し、全役職員が一丸となって着実に改革を進めていく」と語る。

 今回の品質問題は、ニデック再生委員会が進める内部管理体制の改善策の一環として、ニデックと同社グループの生産/開発拠点を対象に行った品質総点検によって判明した。この品質総点検は、品質管理体制および変更管理プロセスの実態を確認し、品質面での課題の把握、必要な是正措置ならびに再発防止策の検討につなげることを目的としたものだ。各生産/開発拠点における従業員へのヒアリング、工程変更/設計変更などに関する記録の照合および全従業員を対象とした品質管理に関する懸念の情報提供を受け付ける通報窓口の開設などを実施し、不適切会計の調査と同様に2020年4月までさかのぼって同社グループの生産活動に関する自主的な点検を進めてきた。

品質問題発覚のいきさつ
品質問題発覚のいきさつ[クリックで拡大] 出所:ニデック

 品質総点検は2026年5月末まで実施する予定ではあるものの、同年3月3日の人事刷新と4月1日の新体制発足以降に、品質の課題や不適切行為に関する通報が急増し、既に1000件以上の不適切行為の疑いが確認されている。これらのうち96.7%は、顧客の確認を受けない部材/工程/設計などの変更だった。また、残りの3.3%では、試験/検査データに関する不適切な取り扱いや生産地に関する不適切な表記などが確認されている。現時点で、直ちに製品機能/安全性に影響する事象は確認されていないという。

5月13日時点における不適切行為の疑いの状況
5月13日時点における不適切行為の疑いの状況[クリックで拡大] 出所:ニデック

 事業別で見た場合に大きな割合を占めるのが家電用モーターだ。同社の家電産業事業本部グローバル・アプライアンス(ACIM・GA)、ニデックインスツルメンツ、ニデックテクノモータを中心に、部材/工程/設計などの変更について顧客の確認を受けずに行われた事象が複数確認されている。車載用モーターでもニデックインスツルメンツを中心に、同様の顧客の確認を受けない部材/工程/設計などの変更が行われていた。

事業別に見た状況
事業別に見た状況[クリックで拡大] 出所:ニデック

 HDD向けの小型精密モーターを中心とするIT関連では、一定数の不適切事案の疑いが確認されているものの、既に顧客との会話を始めており、直ちに製品機能・安全性ではないことを確認している。需要が急拡大するAI(人工知能)サーバ向け冷却システムや、比較的大型製品が多い産業/インフラ/機械向けモーターでは不適切事案は確認されていない。

 1000件以上とされる不適切行為の疑いはニデックグループの複数の拠点で報告されている。このため、外部専門家による専門性/客観性を確保した調査を行う必要があると判断し調査委員会が設置されることになった。調査委員会の委員長はWIN法律事務所の伊丹俊彦氏が、委員は銀座中央法律事務所の幕田英雄氏、東京リベルテ法律事務所の河合健司氏が務める。調査は2026年8月末をめどに完了する予定だ。

調査委員会の構成と方針
調査委員会の構成と方針[クリックで拡大] 出所:ニデック

 ニデックは調査委員会の調査に全面的に協力する一方で、調査と連携しながら顧客へのタイムリーな情報提供を可能とするための組織として改善推進本部を設置する。同本部の本部長は岸田氏、副本部長はCQO(最高品質責任者)の栗林綾氏が務める。本部長と副本部長の直下に、顧客コミュニケーション推進プロジェクトとガバナンス・組織風土改革プロジェクトを置く。「これまで不適切会計問題への対策として進めてきたガバナンスと組織風土改革の取り組みをリセットした上で、改めて改善推進本部の下で推進していく」(岸田氏)。

調査委員会と連携する改善推進本部の体制
調査委員会と連携する改善推進本部の体制[クリックで拡大] 出所:ニデック

 また、2026年8月末をめどとする調査委員会による調査や、同年10月末が締め切りとなる東京証券取引所への内部管理体制確認書の提出を予定通り進めるため、品質不正に関する技術的な問題の有無を検証する技術検証WG(ワーキンググループ)や、財務への影響を調査する財務影響分析WGも立ち上げる。

再生へのロードマップ
再生へのロードマップ[クリックで拡大] 出所:ニデック

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