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ガラス型ペロブスカイト太陽電池が西日本で初設置、波の揺らぎをデザインに採用:材料技術

パナソニックHDが開発したガラス型ペロブスカイト太陽電池の実証実験が、神戸市の公共施設でスタートした。公共施設への設置は西日本初となる。今回の電池では、海に面した公共施設「かもめりあ」の景観に溶け込む波形デザインを採用した。そのワケとは……。

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 神戸市とパナソニック ホールディングス(以下、パナソニックHD)は2026年9月24日、パナソニック環境エンジニアリング(以下、パナソニック環境エンジ)および神戸港“U”パークマネジメント共同事業体が、神戸市中央区の中突堤中央ターミナル(通称:かもめりあ)で、ガラス型ペロブスカイト太陽電池の実証を同日に開始すると発表した。ガラス型ペロブスカイト太陽電池の公共施設での設置は西日本初だという。

 パナソニックHDは同日、オンラインで説明会を開催し、同実証の概要を紹介した。

かもめりあ
かもめりあ[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

景観を損なわずに導入可能な新たな再エネ技術が求められていた

 今回の取り組みは、再生可能エネルギーの導入拡大を目指す神戸市と、新たな発電空間の創出を推進するパナソニックHDのビジョンが合致したことで実現した。

 神戸市は、2030年度までに500MWの再生可能エネルギー導入を目標に掲げている。しかし、都市部においては太陽光パネルを設置するスペースが限られている上、神戸港周辺などの観光エリアでは都市景観との調和も必要となる。そのため、景観を損なわずに導入可能な新たな再エネ技術が求められていた。

 パナソニックHDは、「空間とエネルギーを作る太陽電池で、どこでも発電できる世界を実現する」というミッションを掲げている。従来の野立てのメガソーラーや屋根上だけでなく、都市部の建築物の窓や壁面など、これまで設置が困難だった空間を創エネ空間に変える技術として、ガラス型ペロブスカイト太陽電池の開発を進めてきた。

特に注力したのが「デザイン性」と「施工への配慮」

 実証場所として選定されたかもめりあは、神戸港のウオーターフロントに位置し、海に面した大規模なガラス空間を備えた既存の公共施設だ。新技術を多くの市民や観光客に公開できるテストマーケティングの場として、また、港湾施設特有の「塩害」という厳しい環境下での技術検証の場として適した条件を備えているという。

ガラス型ペロブスカイト太陽電池の設置状況
ガラス型ペロブスカイト太陽電池の設置状況[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

 設置場所はかもめりあの正面入り口付近のガラス面となる。設置枚数は8枚で、1枚当たりのサイズは900×1300mmだ。実証期間は2026年9月24日〜2029年3月31日を予定しており、設置工法の検証、外観/発電能力の検証などを行う。パナソニックHD ペロブスカイトPV事業推進室 エキスパートの奥村実氏は「蓄電池は介さず、パワーコンディショナーを通じて直接建物の電力系統に連系し、施設内の照明や空調設備などの電力の一部として自家消費する」と語った。

 同電池の設置に当たって、特に注力したのが「デザイン性」と「施工への配慮」だという。パナソニックHD ペロブスカイトPV事業推進室 スペシャリストの久保田航平氏は「今回のモジュールは、神戸港の波の揺らぎをモチーフとしたカスタムデザインが採用されており、従来の太陽光パネルのような無機質な設備感ではなく、建築や景観と一体化する工夫が施されている」と強調した。

ガラス型ペロブスカイト太陽電池の設置状況
ガラス型ペロブスカイト太陽電池の設置状況[クリックで拡大] 出所:パナソニックHD

 また、既存の公共施設への後付け施工となるため、利用者の眺望を妨げない設置高さの調整や、営業への影響を最小限に抑える夜間施工で取り付けられた。さらに、配線ルートも利用者の安全性と景観への影響を考慮して慎重に検討されたという。

知見は滋賀県長浜市に開設予定の施設にフィードバック

 同実証は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する2025年度「グリーンイノベーション基金事業/次世代型太陽電池の開発/次世代型太陽電池実証事業」に、パナソニックHDが採択された「ガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術開発とフィールド実証」プロジェクトの一環として実施する。

 パナソニックHD ペロブスカイトPV事業推進室 室長の金子幸広氏は「この実証で得られた知見は、ガラス型ペロブスカイト太陽電池の量産技術を検証する拠点として、滋賀県長浜市に開設予定の施設にダイレクトにフィードバックされる」と明かした。

 現在、パナソニックHDが開発した30cm角パネルのガラス型ペロブスカイト太陽電池における発電効率は18.1%を記録している。学術的な理論値としては従来のシリコン系太陽電池と同等のポテンシャルを秘めているという。今後の課題は、この高効率を大面積のモジュールでも安定して再現できる量産化技術の確立だとしている。

各事業者の役割

 各事業者の役割に関して、神戸市は全体調整や広報などを担当し、パナソニックHDはガラス型ペロブスカイト太陽電池の技術開発、実証計画、実証成果の分析などを担う。パナソニック環境エンジはガラス型ペロブスカイト太陽電池の設計/施工を行い、神戸港“U”パークマネジメント共同事業体は実証フィールド提供や施工運営上の連携などを実施する。

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