経産省概算要求「強く豊かな日本」投資枠とは AI、レアアース、ナフサ:1週間を凝縮! 今週の製造業ニュース
2026年8月31日〜9月4日に公開された記事の中から、MONOist編集部が厳選した今週のニュースをお届けします。
経済産業省は2026年8月31日、「令和9年度 経済産業省関係 概算要求等概要」において、経済産業省関連の要求額の合計が7兆7859億円に上ると発表しました。
令和8年度の当初予算額である3兆693億円と比較すると、約2.5倍の規模となりますが、単純な比較はできません。今回の要求は「補正予算への依存からの脱却」を前提としており、従来は年末の補正予算で措置していた事業を、当初予算の要求段階に組み込んでいるためです。また、予算内には複数の枠組みで重複して計上されている事業や別途計上されるものもあるため、総額の増減以上にその中身に目を向ける必要があります。
そこで注目すべきが、本概算要求の目玉として新設された「『強く豊かな日本』投資枠」です。AI(人工知能)/半導体産業基盤強化フレームやGX(グリーントランスフォーメーション)推進対策費などが含まれるこの枠組みは、要求額だけで6兆3116億円に達します。この投資枠の内訳をひもとくことが、日本政府の重点投資先を知るための手掛かりとなりそうです。
- AI/半導体/ロボット分野:約1.4兆円+AI/半導体フレーム約5300億円+α
成長投資の中核に位置付けられている「AI/半導体/ロボット」分野は、約1兆4000億円に加え、AI/半導体産業基盤強化フレームとして約5300億円、また、金額を定めない事項要求を含んでいます。背景にあるのは、2040年までに100兆円の官民投資を実現するという政府の目標です。製造、物流、介護、災害、廃炉といった日本の強みである現場データを活用する「フィジカルAI基盤」を本格的に開発し、それを実装したAIロボットの量産化や現場導入の早期実現を目指しています。
- 重要鉱物の確保:6800億円
経済安全保障の観点からは、「重要鉱物の確保」に約6800億円の予算が掲げられました。先端技術の維持、発展に向けて2030年時点の需要を見据え、鉱山などの上流開発への投資を通じて、レアアース計1万4000トンなど国内製造業に必要な資源量を確保する計画です。また、日本国内だけでなく同志国などでの資源確保も進めることで、サプライチェーン全体の安定化を目指すことを明らかにしました。
・ナフサ等の供給対応強化:約2200億円
令和8年度概算要求にはなかった項目として、新たに「ナフサ等の供給対応強化」に約2200億円が計上されています。2026年2月頃の”ナフサ危機”ニュースで記憶に新しいと思いますが、ナフサは化学品の重要な基礎原料となっています。これを、特定の国や地域への依存リスクを減らすため、調達先や原料の多角化に向けた設備投資を進める方針です。加えて、「川中製品」と呼ばれる中間素材の在庫を強化するなど、化学品の供給構造を強靱化するための予算を確保しています。
今回取り上げた3つの分野のほかにも、同概算要求には防衛、デュアルユースの技術、生産基盤強化や、医療機器/バイオ/創薬分野への支援などの事業が盛り込まれています。
近年、日本政府は半導体の国内製造拠点の整備や、国産AI基盤モデルの開発支援などに継続して資金を投じています。今回の概算要求にみられる投資枠もそうした一連の国策の延長線上にあり、今後も次世代産業を巡る動向から目を離せない展開が続きそうです。
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