「現場で使えるAIへ」、富士通が進める次世代CPUと自律型AIエージェント戦略:製造ITニュース(2/2 ページ)
富士通は自社イベント「Fujitsu Experience Day 2026」で、次世代CPUの「FUJITSU-MONAKA」をはじめ、AIチームを自律生成する技術や、実店舗で検証する店長業務支援AIなど企業変革を支援する最新AIソリューションを公開した。
業務データから相互に活躍する「AIエージェントチーム」を生成
「マルチAIエージェントが創るビジネス革新」をテーマとした展示では、2026年7月13日に発表した「Fujitsu Kozuchi Multi AI Agent Framework(MAAF)」によるデモンストレーションを披露した。MAAFは、社内規定や契約書といった独自の業務データを投入すると、システム自身が最適なAIエージェントの構成案を自動生成するフレームワークである。
会場では、社内稟議申請における手戻りを解消するAIチェックツールの自動構築を実演した。稟議書のWordファイルやCSVなどの業務知識データを投入し、必要に応じてセキュリティ強化などのツールを装備させて解析を実行すると、システムが自動でAIエージェントチームを構成する。今回のデモでは、「契約特化」「稟議特化」「為替特化」「社内フォーマット特化」の各エージェントが結成され、投入された稟議書に対して契約上の問題や予算超過の有無を、エージェントが互いに確認し合い、最終的な判定を下した。
生成された構成案は事前にテストされ、効果が確認された変更のみを本番環境へ反映する。さらに、影響の大きい重要な変更プロセスには人間の承認を挟み、変更履歴も監査可能な形で保持される。MAFFは、「富士通のエンタープライズ向け生成AI『Takane』などのクローズドな環境で動作するため、機密データも安全に扱える」(富士通の説明員)という。
写真での棚割りレイアウトやポップ生成で店長業務を標準化
データとAIで小売業の持続的な成長を支援する「Uvance for Retail」の取り組みでは、イオンフードスタイルと共同開発した店舗運営支援AIエージェントを紹介した。両社は同年7月より実店舗での実証実験を開始し、AIが戦略立案や売場レイアウトの検討を支援することで、迅速な意思決定や店長業務の標準化、効率化への効果を検証する。同年3月に食品スーパー3社(マックスバリュ関東、ダイエーの関東事業、イオンマーケット)の統合によって発足したイオンフードスタイルにおいて、全店舗で一貫したサービス提供を実現するための試みだ。
開発では、富士通のエンジニアらが現場業務を分析し、店長と協働するための4つのAIエージェントのプロトタイプを約10日間で構築した。主な機能である棚割りレイアウト生成では、本部の陳列指示書や商品情報、店舗特性、在庫情報を加味したプランを作成する。テキストによる指示だけでなく、画像で売場の陳列イメージを出力できるため、売場担当者への指示出しやコミュニケーションの円滑化に寄与するという。店頭のポップ作成も可能であり、AIの提案を採用するか否かは最終的に店長が判断する仕組みとなっている。「新人からベテランまで店長業務を標準化できることに加え、好調な店舗のノウハウを横展開することも期待できる」(富士通の説明員)。
今後は実証実験の結果をもとに、AIの精度向上や適用範囲の拡大、売上向上に向けた検証を進める方針だ。将来的には、複数のAIが協働して自律的にタスクを遂行するマルチAIエージェントの実装を目指す。
富士通は、これらソリューション群によるデータとAI技術の社会実装を一段と加速させることで、顧客企業の課題解決や競争力強化、持続可能なビジネスモデルの構築に貢献していく構えだ。
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