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ファナックとフィジカルAI、現場主義の開発思想FAインタビュー(3/3 ページ)

「AWS Summit Japan 2026」のスペシャルセッションに登壇したファナック 常務執行役員 ロボット研究開発統括本部長 安部健一郎氏が合同取材に応じた。安部氏は、ファナックのフィジカルAI(人への向き合い方、AWSと目指す世界、ロボットの制御性、ソフトPLCなど多岐のテーマについて語った。

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なぜロボットコントローラーにソフトPLCが

Q 最近では、ロボットコントローラーにソフトPLCを内蔵するなど、機能の充実を進めています。その狙いは何でしょうか。

安部氏 CODESYSのソフトPLCを最新のロボットコントローラーに内蔵した理由は2つある。

 1つはハードとしてのPLCをなくすことで、ユーザーのコスト削減につながることだ。もう1つはデジタルツインだ。ハードのPLCは現場でのデバッグが多くなる。2026年5月に、ファナックのロボットシミュレーションソフト「ROBOGUIDE」の中にソフトPLC機能を入れた。これでデジタルツインが可能になった。

 また、同月からROBOGUIDEとNVIDIAのロボットシミュレーション用ソフト「Isaac Sim」がリアルタイムに連携できるようになった。

 ROBOGUIDEの機能はIsaac Simで使えるので、Isaac Sim自体はソフトPLCに対応していなくても、ROBOGUIDEが対応しているためIsaac SimもソフトPLCに対応したことになる。

 「国際ロボット展2025」の時点では、ROBOGUIDEで作ったプログラムをIsaac Simに“転送”することで、Isaac Simの中でファナックのロボットを正確に動かすことができた。Isaac Simの中でファナックのロボットが本物と同じように動くというのは事実だが、まだ転送という作業が必要だった。

 今は、ROBOGUIDEの中にソフトPLCを入れられるので、バーチャル環境でシステムのロジックが確認できる。それは製造業にとって大きなブレークスルーとなるのではないか。ロボットなどを調達している間に、プログラミングやロジックの確認ができる。あとは調達したロボットなどに、それらを流し込むだけで済む。ラダープログラムも書けるし、デバッグも可能だ。われわれの新しいラインでもそれを取り入れる。

 4〜5年前、ソフトPLCをロボットコントローラーに内蔵できるように作り込むことを決めた。その会議は、オープン化を決めた会議と同じくらいの大きなブレークスルーになった。ただ、それもコストを下げたい、立ち上げ時間を短くしたいというユーザーのニーズから生まれたものだ。もちろん、CODESYS以外のメーカーのソフトPLCも取り入れられるようにしている。

ファナックのロボット制御技術はNC装置の派生

Q 今後もロボットコントローラーの発展の余地はあるということですね。

安部氏 ロボットメーカーとして、ロボットコントローラーを今後も発展させていかなければならない。処理能力や接続できるカメラの数、1msの超高速通信制御などを突き詰めていく。

 フィジカルAIに関しては、AIで動かすのだからどこのメーカーのロボットでも同じではないかということよく言われるが、全く違う。

 われわれの(工作機械の)NC部隊は非常に高い制御技術を持っている。それをロボットに引き込むことができるのは、ファナックの大きな強みになっている。ロボットの精度は一般的に0.1mm程度なのに対して、NC制御装置の精度は1μm以下だ。われわれのロボットコントローラーとNC制御装置は同じ基板を使っている。生産ラインも同じだ。そのため、ファナックのロボットは非常に高い精度を持っており、人間よりも早く正確に作業できる。

 ロボット制御はまだまだ進化させることができる。今の限界は制御性ではなく、ロボットのメカの方にある。工作機械は剛性が高くて、機械として優れている。それに対してロボットはアームなので、どうしても“つないでいく”形になり、その先端での制御の精度は工作機械ほどではない。今後、メカの性能が向上するほど、ロボットの制御性も高められるポテンシャルを持っている。

 もう1つは、モーターの技術だ。モーターも社内で設計、製造している。工作機械においてNC制御装置とモーターはセットになっている。そのモーターをロボットでも使えるというのは、ロボットの開発者としては幸せの極みだ。


AWS Summit Japanのファナックのロボットを使ったブースに立つ安部氏

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