オープン化のファナック、ロボット制御装置のソフトPLC機能活用デモ:2025国際ロボット展
ファナックは「2025国際ロボット展(iREX2025)」において、ロボットコントローラー「R-50iA」で対応したソフトPLC(プログラマブルロジックコントローラー)機能を使ったデモを披露した。ユーザー側でのカスタマイズの自由度を高めるプラットフォームとして提案する。
ファナックは「2025国際ロボット展(iREX2025)」(東京ビッグサイト、2025年12月3〜6日)において、ロボットコントローラー「R-50iA」で対応したソフトPLC(プログラマブルロジックコントローラー)機能を使ったデモを披露した。
R-50iAでは、国際規格IEC 61131-3に準拠したCODESYSのソフトPLC機能を、PCやハードウェアを追加することなく使用できる(オプション)。CODESYS統合開発環境で、ラダーやST言語など6種類の言語を用いたPLCプログラムを作成でき、周辺機器やツールなどのシーケンスI/O制御が可能となっている。
さらに、追加オプションとしてソフトPLCを用いた工程操作盤機能を利用できる。ランプやボタンなどの部品を並べて画面を作成し、工程操作盤をノーコードで簡単に作成可能な他、作成した工程操作盤はEthernet(イーサネット)接続したタブレットやPCのブラウザで表示できる。また、制御装置単体でPythonのスクリプトも実行できるなど、R-50iAはオープン化を図ったコントローラーとなっている。
会場では、ハードウェアのPLCを使わず、R-50iAに搭載されたソフトPLC機能を使って、他社製サーボモーターのオプション軸の位置、速度、トルクを制御し、それらのデータをリアルタイム表示するデモを行った。
「従来は同様の制御をしようとすれば、ハードウェアのPLCが必要だったが、オーバースペックになってしまうケースもあった。簡単な装置制御ならソフトPLC機能で実現できる。コストを抑えられる他、ユーザー側で自由にプログラムすることも可能だ。今回のファナックブースではオープン化が1つのキーワードになっており、ユーザー側でカスタマイズしたい時のプラットフォームとしてソフトPLC機能を提案している」(ファナックの担当者)
その他、教示レスのばら積みピッキングのデモでは、ワーク搬送用のコンベヤーをソフトPLC機能で制御した。
従来シリーズをフルモデルチェンジした大型産業用ロボット「R-2000/Eシリーズ」も出展。動作速度が最大20%、可搬質量最大が10%、最大リーチが10%向上などの性能強化を図った他、ロングリーチモデルもラインアップしており、物流、搬送用途を拡大している。Python/ROSに対応しており、AI(人工知能)などを活用した柔軟なシステム構築が可能になっている。
また、可搬重量3kgのポータブル協働ロボット「CRX-3iA」を展示した。最大692mmのリーチ、機構部質量は、11kgで片手でも持ち運べる軽さとなっている。設置角度はロボットが自動で認識し、設置角度の入力などの操作は不要。溶接作業の自動化などを想定している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ファナックがNVIDIA協業にROS2対応、フィジカルAIでオープンプラットフォーム推進
ファナックは産業用ロボットのフィジカルAI(人工知能)実装を推進するため、NVIDIAと協業すると発表した。また、ROS 2上で同社のロボットを駆動させる専用ドライバを公開。フィジカルAIでオープンプラットフォーム対応を加速させる。
厚さ30mmで制御盤の薄型化に寄与、ファナックが産業用PCのエントリーモデル
ファナックは、産業用PC「FANUC iPC」のラインアップにAtom CPU搭載のエントリーモデルを追加した。PC制御部の厚さが30mmと薄いため、制御盤の薄型化に寄与する。
クリスマスシーズンに活躍? ファナックの協働ロボが動くケーキにデコレート
ファナックは「2023国際ロボット展」において、新たに追加した食品対応仕様の協働ロボットのラインアップなどを紹介した。
転換期のPLC〜その進化の軌跡と現在地
本稿では、34年間PLCと共に歩んできた筆者の視点から、全3回にわたって今、PLCが迎えている重要な転換期を読み解きます。今回は、まずPLCの進化の軌跡をたどり、その“現在地”を明らかにします。
130人の声が示すPLCの“現在地” 製造現場が抱える課題、期待を分析
本稿では、34年間PLCと共に歩んできた筆者の視点から、全3回にわたって今、PLCが迎えている重要な転換期を読み解きます。今回は、アンケートに寄せられた130人の声を基に、PLCの現在地を探ります。そして、製造現場がPLCに対して抱える課題、期待を分析します。
これからのPLC〜「PLC Anywhere」の時代へ〜
本連載では、34年間PLCと共に歩んできた筆者の視点から、全3回にわたって今、PLCが迎えている重要な転換期を読み解きます。最終回となる今回は、次世代のPLC像を「PLC Anywhere」というコンセプトで描き出し、その実現に向けた道筋を探ります。


