E-Scrapの海外流出を防げ! NTTと三菱マテリアルがタッグで挑む:リサイクルニュース(2/2 ページ)
国内のE-Scrapリサイクル率はわずか約23%。この課題を解決すべく、NTTと三菱マテリアルが新会社を設立する。NTTの情報流通基盤と三菱マテリアルの製錬技術を掛け合わせて、実現する同社の事業とは――。
三菱マテリアルの役割とは?
一方、三菱マテリアルは、2026年度に開始した3カ年の中期経営計画において「資源循環ビジネスで未来をつくる企業へ」を基本方針に掲げており、資源循環を推進している。
三菱マテリアル 執行役常務 井上達也氏は「NTTサーキュラストにおいて、当社が担う役割の1つが『資源循環の回収から再生までのプロセス』だ。当社は、E-Scrapの集荷規模が世界最大規模で、回収した資源を製錬/加工し、再び製品として社会に供給している」と述べた。
その上で、「今回のNTTとの協業により、この循環の輪をさらに広げて、資源の安定確保につなげていければと思っている。当社はNTTサーキュラストにおいて、いわゆるリサイクル由来の資源の信頼性を高く証明して、社会に届ける役割を担う。2026年1月に、当社は国内初のリサイクル金属ブランド『REMINE(リマイン)』の新シリーズとして、マスバランスクレジットモデルに基づく電気銅の供給サービスを開始した」と補足した。
同サービスを提供した背景には銅の資源循環における課題があるという。銅の資源循環では、製造工程で銅鉱石とリサイクル原料が混ぜられるため、完成した銅がリサイクル由来かどうかを物理的に区別して供給することが難しい。
この解決策として、同社はリサイクル材の使用量を管理して、その使用量を見える化した電気銅を提供する仕組みを導入した。そして、REMINEの電気銅供給サービスに活用している。
「この仕組みの運用に当たっては、ガイドラインを策定している。このガイドラインは、『ISO22095』に準拠するとともに、第三者機関による検証を受けることで、高い信頼性を確保している。同様の取り組みは、他社でも進められているが、当社はこうした国際基準と第三者検証まで含めた形で、仕組みを整備している点に特徴がある」(井上氏)。
売上高の目標は2035年度に約300億円
NTTサーキュラストは主に「再生材の特性情報の伝達の仕組みの提供」と「再生材の製造/販売」を行う。
「再生材の特性情報の伝達の仕組みの提供」では、サプライチェーン全体において最終製品メーカーまで適切に再生材の特性情報を伝達する仕組みを提供する。この仕組みは、将来的には他社の再生材も含めた業界横断で活用可能な共通プラットフォームとして展開し、製品メーカーなどが再生材の利用状況を説明しやすい環境を整える。
この仕組みにより、排出企業に対しては、使用済み機器がどのように再資源化され、再生材として活用されているかといった情報をフィードバックすることも可能となる。そのため、資源循環への参加意義の可視化と、さらなる循環への参画促進を図れる。
NTTサーキュラスト 代表取締役社長に就任予定の宮崎敬樹氏は「これは情報伝達プラットフォーム事業だ。この事業では、再生材の特性情報を、サプライチェーン全体で共有/伝達する仕組みを構築して、サービスとして提供する。このサービスのユーザーとしては、再生材を活用した製品のサプライチェーンに関わる企業を想定している。再生材の特性情報を安全、確実、簡単に伝達できる機能を提供していきたい。情報伝達の仕組みと併せて、第三者の監査機関による検査なども提供する」と触れた。
「再生材の製造/販売」では、使用済みIT機器や通信設備などを回収し、これらを原料として再資源化を行い、再生材の製造/販売を担うとともに、IT機器および通信設備由来の金属資源を対象に再生材製造事業を開始する。これらの取り組みを通じ、排出企業、リサイクラー、製品メーカーなど、資源循環に関わる各主体をつなぐ役割を担う。
「使用済みの機器を原材料として回収し、金、銀、銅などの非鉄金属を回収し、再生して販売する事業だ。NTTも排出当事者であるため、まずは自社の使用済みIT機器などを対象に事業を開始したいと考えているが、他社にも展開していきたい。回収した機器は、委託という形でデータ消去、解体、製錬を行い、再生材として販売することを計画している」と宮崎氏はコメントした。
情報伝達プラットフォーム事業に加えて、再生材の製造/販売事業を展開するのにも理由があるという。
宮崎氏は「単に情報伝達プラットフォームを提供するだけでは、再生材市場の成立で他社に依存してしまう。NTTも排出当事者のため、自ら再生材市場に参加することで、実際に市場に関わりながら循環の価値が評価され、選ばれる市場を育てていきたい。なお、再生材の製造/販売事業では、まず使用済みIT機器の金や銀、銅などを対象とする。光回線への移行に伴う『撤去された通信用銅線』は現時点ではリサイクルの対象外だ」と触れた。
加えて、「回収した資源の製錬プロセスは、基本的に全て三菱マテリアルに委託する。使用済みIT機器の回収、データ消去、解体、製錬の各工程は、『売却』ではなく『委託』で行う。新会社がモノの所有権を持ったまま一貫管理することで、再生材に関する情報の分断を防ぎ、情報のトレーサビリティーを高める」と補足した。
設立後、NTTサーキュラストはNTTグループの排出物を起点に、循環モデルの実装を進めていく。併せて、情報伝達プラットフォームの実証/展開を推進する。将来は、回収チャネルへの拡大や他素材への対応も行う。なお、設立時の従業員は約10人で、資本金などは15億円(資本金7.5億円、資本準備金7.5億円)となる。売上高の目標としては、2030年ごろに約30億円、2035年度には約300億円を掲げている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
廃プリント基板の資源循環スキームで、パナソニックと三菱マテリアルが組む理由
パナソニックETソリューションズ 企画担当 CEエキスパートの田島章男氏と三菱マテリアル 金属事業カンパニー 資源循環事業部 事業開発部 企画室 室長の古賀沙織氏に、金属資源循環スキーム「PMPループ」の構築背景や概要と特徴、効果、採用事例、今後の展開について聞いた。【訂正あり】
国内の銅事業再編、大手4社が手を組んだワケ
国内大手4社による一大再編だ。JX金属、三井金属、丸紅、三菱マテリアルは、三菱マテの銅精鉱調達/販売事業をパンパシフィック・カッパー(PPC)に統合する最終契約を締結した。
サブミクロン銅粒子を用いた焼結型銅接合材料、低温/高信頼接合を実現
三菱マテリアルは、独自の銅粉製造技術により、一般的な銅粉末よりも低温での焼結接合を可能とするサブミクロン銅粒子を用いた「焼結型銅接合材料」を開発した。
三菱マテリアルが米国で資源循環事業部を新設
三菱マテリアルは、米国三菱マテリアルに、米国での資源循環事業戦略を推進する組織として、2026年4月に「資源循環事業部」を新たに設置する。
高熱伝導性/低熱膨張性と優れた加工性を有す金属−セラミックス複合材料
三菱マテリアルは、高熱伝導性/低熱膨張性を持ち、優れた加工性を有する金属−セラミックス複合材料を開発した。










