日本初! 電子線印刷でパッケージ量産、利点は脱炭素だけにあらず:材料技術
脱炭素と美しい印刷を両立する新技術が登場!TOPPANは日本で初めて「EBオフセット印刷」によるパッケージの量産を開始する。
TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPANは2026年5月18日、日本で初めて(同社調べ)、電子線(Electron Beam、以下EB)オフセット印刷を用いた軟包装パッケージを開発し、同月から量産を開始すると発表した。
EBオフセット印刷は、EBを活用した印刷手法で、EBを照射しインキを瞬時に硬化させるため、高温の乾燥機を用いる工程が不要という特徴がある。有機溶剤をほとんど含まない印刷手法であるため、揮発性有機化合物(VOC)ガスの排出量を削減できる。
そのため国内で主流となっているグラビア印刷と比較して、印刷工程でのCO2排出量を約16%削減可能だと同社は算定している。この算定では、3層構成の同社製スタンディングパウチを対象に、同一構成でグラビア印刷からEBオフセット印刷に切り替えた場合を想定。CO2排出量の算定範囲はパッケージに関わる、原料の調達/製造、製造、輸送、リサイクル/廃棄となる。
グラビア印刷とは、有機溶剤インキを用いる凹版印刷の一種で、微細な濃淡や質感を豊かに表現し、写真集や食品包装フィルム、ポスターなどの高速大量印刷が必要な分野で多く使用されている。
パッケージ包装のモノマテリアル化にも対応
環境配慮や省資源化推進における世界的な機運の高まりを受け、日本国内でもプラスチック資源循環促進法や改正地球温暖化対策推進法が施行されるなど、環境配慮に関する取り組みが進んでいる。
一方、TOPPANグループは、脱炭素社会の実現に向け、2023年からパッケージを起点としたサステナブルブランド「SMARTS」を展開し、持続可能な社会づくりを推進している。その取り組みの一環として、地球環境に配慮したサステナブルなパッケージ生産手法である「SX生産方式」の導入を積極的に推進。水性フレキソ印刷やデジタルプリント、ノンソルベントラミネートなどを国内各地の製造拠点で整備してきた。
水性フレキソ印刷は、水性インキを用いる凸版印刷の一種で、有機溶剤をほとんど含まないため、CO2やVOCの排出量を減らせる。日用品やレトルト用途を含む多様な業界/製品に対応したパッケージ展開も可能だ。
ノンソルベントラミネートは、有機溶剤を使用しないラミネート方式で、CO2やVOCの排出量を削減できる。同社独自の接着剤/加工技術により、レトルト対応パッケージでも採用実績がある。
同社は、SX生産方式の新たなラインアップとしてEBオフセット印刷の量産を開始し、企業の幅広いニーズに応じた生産手法を選択できるようにした。各企業のサステナブル経営の取り組みにおけるSX共創パートナーとして、持続可能かつ環境負荷の少ない環境配慮パッケージの提供を開始する。
EBオフセット印刷は、より小さな網点(インキの点)を高密度で配置でき、高精細な表現や滑らかなグラデーションの再現などが行える。これにより特色を使用せずに美しい印刷表現が可能だ。さらに、高温の乾燥機を用いる工程がないため、フィルムの熱収縮が抑制され、印刷見当ずれなどの不具合が低減する。
また、一般的な軟包装パッケージの印刷では、外部との摩擦によりインキが擦れるのを防ぐため、フィルムの裏側に絵柄を印刷する「裏刷り」が一般的だ。一方、EBオフセット印刷ではEB照射技術により耐久性のある表面膜を形成できるため、フィルムの表側に絵柄を印刷する「表刷り」に対応する。これにより、インキを保護するフィルムの層数を減らすことができ、プラスチック使用量やCO2排出量の削減に役立つ。
加えて、熱収縮しやすいポリプロピレンやポリエチレンなどへの印刷適性も高いため、パッケージ包装のモノマテリアル(単一素材)化にも対応する。
同社は今回の量産開始に伴い、食品業界や、医療/医薬業界などに向け、EBオフセット印刷を用いた環境配慮パッケージの提供を進め、2028年度までに関連受注を含め約30億円の売上高を目指す。
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