全固体電池製造工程の低露点環境に対応する潤滑剤、新技術で開発:材料技術
NOKクリューバーは、リチウムイオン電池および全固体電池の製造工程における低露点環境に対応する潤滑剤「低露点用グリース」を開発した。低露点用グリースは、電池製造装置において、従来の潤滑剤で課題となっていた駆動部の潤滑不足を防ぎ、製造装置の長寿命化に貢献する。
NOKのグループ会社であるNOKクリューバーは2026年3月9日、リチウムイオン電池および全固体電池の製造工程における露点−50℃〜−70℃の超乾燥環境(低露点環境)に対応する潤滑剤「低露点用グリース」を開発したと発表した。
金属元素に起因する電池特性の不良リスクを削減
リチウムイオン電池や全固体電池の製造工程では、水分を極限まで取り除いた超乾燥環境が必要とされるが、このような環境では一般的な潤滑剤の摩擦抵抗が増大し、潤滑性が損なわれる。
この課題に対しNOKクリューバーは、既存試験機を改造して超乾燥環境を再現する独自の試験技術を開発するとともに、その環境下で潤滑性を評価する技術を確立した。両技術により、安定した潤滑膜を保持できる潤滑成分の選定が可能となるとともに、電池特性に影響を与える特定金属元素を含まずに潤滑性能を発揮する独自の配合設計が行えるようになった。
これらを活用し露点−50℃を再現した摩擦試験で、低露点用グリースが時間経過による摩擦抵抗の増大を抑え、安定した潤滑性能を維持することを実証した。この低摩擦特性により、製造装置部品の摩耗を抑制して長寿命化を実現するだけでなく、装置の安定稼働を通じた生産性の向上に貢献する。
加えて、Cu(銅)、Zn(亜鉛)、Fe(鉄)といった特定の金属元素を原料材に含まないため、金属元素に起因する電池特性の不良リスクを減らせる。大気環境での潤滑性にも優れるため、設備の省エネ化に役立つ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
従来比で最大40%の摩耗低減を実現した「自己潤滑ゴム」を開発
NOKとENEOSは潤滑性が少ない貧潤滑環境下でもこれまでと変わらない密封性を保つゴム材料を共同開発した。
伸縮性の高い多孔質状EMS用ドライ電極を発表、高い導電性で筋力強化に貢献
NOKは、開発を進めている多孔質状EMS用ドライ電極「Sotto ポーラス」を発表した。人体の動きに追随する特殊ウレタン系素材に、同社の配合技術とコーティング技術を活用して導電性を付加している。
排せつ記録を自動化、オムツ用使い捨て排尿検知センサーを開発
NOKと日本メクトロンは、使い捨てができる排尿検知センサー「C-Letter」を開発した。センサーはオムツに取り付けて使用し、排せつを検知して自動で記録する。
潤滑油/グリス製品向けにカーボンフットプリント算定システムを開発
ENEOSは、同社の潤滑油/グリス製品向けに、「製品別カーボンフットプリント算定システム」を開発した。
ウェアラブルエコーセンサーの共同プロジェクト、2026年の製品化を目指す
NOKは、サーモンテックとのウェアラブルエコーセンサーの共同研究プロジェクトを正式に始動した。薄く軽量で快適に装着できる高性能センサーとして、健康管理やスポーツパフォーマンス向上などへの活用が期待される。
