製造業に求められる人材戦略とは 鍵を握る「スキルデータ管理」:製造ITニュース(2/2 ページ)
Resilire(レジリア)とSkillnote(スキルノート)はメディア向けの勉強会を開催。スキルノートは製造業における人材不足の現状を示しながら、人材戦略におけるスキルデータ活用の重要性や同社の取り組みを説明した。
製造業における新入社員育成期間を50%削減 Skillnoteの効果とは
厚生労働省が公表しているデータによると、製造業に就職する新卒者は過去20年間で減少を続け、2000年の17.3%から2023年には8.6%となり半減している。このような中で製造業の事業継続のためには早期育成が重要であり、多くの製造業では新入社員研修を実施している。特にOJTの浸透率は高く、「ものづくり白書」における調査データによると2023年には最高値の68.4%を記録している。
しかし、多くの製造業が人材育成における課題を抱えているのも事実である。ものづくり白書の調査によると製造業では85%以上の事業所が人材育成の部分に問題を感じていると答えている。この原因については、「指導人材の不足」が一番多く、その次に「人材育成を行う時間がない」が続いている。山川氏は「この10日間だけで製造業2社から同じ相談を受けている。新人が入ってきてもすぐに辞めてしまう人が増えている、人に教えることができる技能を持っている人は現場の仕事で忙しいため、教育に時間を割けないという問題が製造業では多く起きているのではないかと想像できる」と語る。
近年ではこの問題を解決するために、デジタル/AI(人工知能)ソリューションなどを活用する企業が増えている。VR(仮想現実)機材を活用した労災体験や熟練作業が持つノウハウや技術文書に記載されている内容をAIに学習させて最適化し、そのデータを新人教育に活用するといったツールも登場している。スキルノートでは技術スキルの可視化を通じて人材育成の支援に取り組んでいる。
実際に三菱ケミカル 東海事業所の炭素繊維課でスキルノートのサービスを導入し、新人教育期間を短縮して、現場の負担軽減と学習意欲の向上を図った事例も生まれている。炭素繊維業界は年々成長を続けており、製品需要も増加している。一方で、人材不足が原因で新入社員に時間を割けずに同部門では育成期間が長期化していた。
この課題を解決するために同部門は「Skillnote スキルマネジメントシステム」を導入。3つの機能を活用して作業教育効率を改善させた。同部門では作業者のスキルマップをExcelで管理していた。これを同システム上に格納して一元化し、教育計画の状況や資格取得予定、計画の遅延といった情報を色の違いで確認できるようにした。ワンクリックで教育計画や過去に実施した教育内容を確認できるため、他のツールを経由することなく必要な情報へアクセスできる。
さらに、教育計画が遅延している場合は教育担当者や現場のリーダーにアラートが届くようになっているため、柔軟なフォローアップも可能である。加えて、新人期間である3年間をどのようなステップを経て進んでいくのか、各作業工程やスキルに分類しながら確認可能な機能を備えているため、学習計画も明確化できる。
これらの機能を駆使して改善を進めた結果、同社では1つの作業工程の教育期間を50%短縮させることに成功した。また、管理職や教育担当者が新人の教育状況を把握しやすくなったため、フィードバックをすぐにできるようになった。山川氏は「実際に現場の新人作業者に話を聞くと、『自分が次に何をやって成長できるのかが分かるようになった』という意見や『資格取得やスキルアップのためにやりたいことを自分で考えられるようになった』という反応があった。このことから、個人のモチベーションにつながっていると感じており、これも相まって育成速度の向上に結び付いているのではないかと考えている」と述べている。
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