ナノイー技術で花粉症状を緩和、パナソニックがヒト臨床試験で実証:医療技術ニュース(2/2 ページ)
パナソニックと福井大学は、帯電微粒子水「ナノイー」技術が花粉症状を有意に改善することをヒト臨床試験において実証した。スギ花粉による症状自覚者約100人を対象とし、屋外の自然飛散花粉を取り込んで行った。
有意な症状改善を確認、デモンストレーションも
試験の結果、ナノイー技術を搭載した試験機を使用した環境では、非搭載の環境と比較して、花粉による全般的症状が改善したことが確認された。藤枝氏は今回の成果について「マスクや薬剤といった生活上の不便を強いる従来の花粉対策に対し、(ナノイー技術は)ヒトに負担をかけずに症状を改善できる新しい選択肢として期待できる」と評価した。
ナノイー発生の原理は、ペルチェ素子で冷却した霧化電極に空気中の水分を結露させ、対向電極との間に高電圧を印加することで、約5〜20nmの微粒子イオンを生成するというものだ。ここで発生したナノイーは、花粉などのアレルゲンやウイルスなどを抑制させる作用を持つOHラジカルを多く含む。パナソニック くらしアプライアンス社くらしプロダクトイノベーション本部本部長の久津見洋氏は「通常のイオンであれば、空気中の酸素や窒素と反応して消失してしまうところを、ナノイーのOHラジカルは水に包まれているため安定しており、より広範囲の空間に拡散することができる」と説明した。
記者会見の会場ではナノイー技術のデモンストレーションも行った。有色の模擬アレルゲン溶液を付着させた2体の人形を用意し、ナノイー照射の有無による変化を比較検証した。その結果、照射した空間に置かれた人形のみ、1分ほどで溶液の色が徐々に薄まり、透明へと変化する様子が確認できた。
パナソニックはこれまで、ナノイー技術による国内主要17種の花粉に対する抑制効果や、細胞レベルでのアレルギー反応抑制などを検証してきたが、今回の実証によって、ヒトの症状に与える影響まで実証領域を拡大させた形だ。
なお、今回は技術検証の発表であり、実使用空間での効果を保証するものではない。同社は今後、今回確認した症状改善効果のさらなるメカニズム解明を進めるとともに、住宅、公共交通機関、ホテルなど多様な空間への技術展開を加速させる方針である。
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