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「ナノイー」は運転中の集中力や注意力を向上する パナソニックが検証研究開発の最前線(1/2 ページ)

パナソニックは、同社の帯電微粒子水「ナノイー」技術がドライバーに与える影響を科学的に検証し、運転中の集中力向上に貢献する可能性があると発表した。

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 パナソニックは2025年12月15日、オンラインで記者会見を開き、同社の帯電微粒子水「ナノイー」技術がドライバーに与える影響を科学的に検証し、運転中の集中力向上に貢献する可能性があると発表した。同検証はインド工科大学ボンベイ校(以下、IITB)交通システム研究室の監修の下で実施し、危険が想定される運転環境下において、ナノイー技術がドライバーの認知/判断/操作を与える影響を一貫して分析した初の試みである。

パナソニックのナノイー技術の歩み

 ナノイーは空気中の水に高電圧を加えることで生成される反応性が高いOHラジカルを含む、ナノサイズの微粒子イオンである。通常のOHラジカルは非常に寿命が短いが、同技術で生成されるOHラジカルは水に包まれている。これにより長寿命化を実現し、気流に乗せることで空間の隅々まで拡散できる。

 粒子の大きさは5n〜20nmであり、繊維の奥まで浸透させられるとともに、弱酸性という特徴を持つため肌や髪にも優しいという特徴がある。パナソニックはナノイーが持つ特徴を生かし、カビや菌、ウイルスの抑制、臭いの除去などさまざまな検証を進めている。


ナノイー技術について[クリックして拡大]出所:パナソニック

 過去に実施したナノイーが充満する空間下でのストレス低減効果を確認した検証では、窒素系ラジカル成分が末端血管の拡張に寄与するという特徴がナノイー技術にも同様に存在するのかを確認した。その結果、NK細胞数の減少やセロトニンが増加し、ナノイー技術にはストレス低減効果があると判明した。


過去のナノイー技術検証の内容について[クリックして拡大]出所:パナソニック

 その後の検証でパナソニックは、精神安定効果を通じて集中力の指標としても用いられるセロトニンと、覚醒や集中力に関与するノルアドレナリンの変化に着目した。この2つの物質については、同社の評価によって両方とも集中している状態で増加することが確認できた。この結果からナノイー技術では人に負荷がかかる状況において、集中力向上の効果が期待できる可能性が判明した。


ナノイー技術による血中セロトニンと血中ノルアドレナリンの増加量[クリックして拡大]出所:パナソニック

 パナソニック くらしアプライアンス社 くらしプロダクトイノベーション本部 コアテクノロジー開発センター 所長の佐々木正人氏は「過去の検証からナノイー技術には生態への効果があることを確認した。この知見を踏まえて精神的/身体的負担がかかる状況や、集中力が求められる活動でナノイー技術を役立てることができる可能性を検討し、その中で自動車の運転に着目した」と語る。

 日本の交通事故発生件数は2015年以降減少傾向にあったが、2020年から年間約30万件で推移しており、依然として多い傾向にある。交通事故の多くはドライバーの認知不足や判断ミス、操作の誤りといった人為的な要因が影響で発生している。「法令違反別の事故件数の内、約7割が安全運転義務違反(適切な運転操作と正しい状況判断ができていない状態での違反)である。運転者が事故やヒヤリハットを経験しない限り認識しづらい人為的ミスに対して、ナノイーによる集中力向上の効果で課題解決に貢献できると考え、今回の検証に取り組んだ」(佐々木氏)。


日本の交通事故の課題[クリックして拡大]出所:パナソニック

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