商用EV導入の電力課題を克服へ、ニチコンが「1基で最大6台の急速充電」を提案:第5回スマート物流EXPO
ニチコンは「第5回 スマート物流 EXPO」において、商用EV向け「サイクリックマルチ充電器」を出展した。1基の電源盤のみで、最大6台に90kWで順次急速充電する。
ニチコンは「第5回 スマート物流 EXPO」(2026年1月21〜23日、東京ビッグサイト)において、商用EV(電気自動車)を複数台運用するための急速充電システム「サイクリックマルチ充電器」を出展した。
一般的な乗用EVのバッテリー容量は40k〜60kWh程度であり、住宅用の200V電源を用いる6kW出力の普通充電器を使えば一晩で満充電にできる。一方、商用EVのバッテリー容量は200k〜400kWh程度であり、その実運用には50k〜100kWを出力できる急速充電器が不可欠となる。しかし、複数台を一斉に急速充電する場合、受電設備の容量超過や、ピーク時の電力上昇による電気基本料金の高騰を招く。
この課題に対し、ニチコンは1基の電源盤で最大6台のEVを効率的に運用する、サイクリックマルチ充電器を2025年2月に発表した。サイクリックマルチ充電器は、接続された全車両へ同時に給電するのではなく、バッテリー残量の少ない車両を優先して給電する。最大90kWの出力で15分間(または30分間)の給電を行い、時間経過後、自動的に次の車両へと給電先を切り替える「輪番(サイクリック)」の仕組みとしている。
ハードウェア構成は、キュービクル(高圧受電設備)から電源盤を通り、スイッチャーボックスを介して各ディスペンサへ電力を振り分ける。通常、急速充電器を導入する場合、1台につき1基の電源盤が必要となるが、同製品では複数の充電ポートに対し電源盤は1基で済む。これにより、充電設備の負荷は常に1台分に平準化され、既存の電力インフラを大幅に増強することなく、複数台の車両運用が可能となる。
給電口となるディスペンサは、全高約2.5のトールスタンド、同約1.4mのロースタンド、壁掛けの3タイプから選択できる。ニチコンの説明員によると、「現時点ではロースタンドタイプの需要が最も高い」(ニチコンの説明員)という。また、通信規格はOpen Charge Alliance(OCA)が定める通信用国際標準プログラムOCPP 2.0.1に対応しており、専用サーバを通じた遠隔での充電管理や制御も可能である。
現在、バス会社での先行導入を始めており、今後は増産体制を強化する予定だ。市場展開について、ニチコンの説明員は「当面は商用EV市場で先行するEVバスを中心に展開を進め、将来的な物流業界の電動化を見据え、EVトラック向けを第二の柱として育成していく方針だ」と語った。
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