アウディがイタルデザインを米国エンジニアリング企業に売却、株式保有は維持:車両デザイン
アウディ(Audi)グループと米国の設計/エンジニアリング企業であるUSTは、イタリアのデザイン会社であるイタルデザインの株式の過半数をUSTが取得する契約を締結したと発表した。
アウディ(Audi)グループと米国の設計/エンジニアリング企業であるUSTは2025年12月10日(現地時間)、イタリアのデザイン会社であるイタルデザイン(Italdesign)の株式の過半数をUSTが取得する契約を締結したと発表した。
イタリアの工業デザイナーであるジョルジェット・ジウジアーロ氏が創業したイタルデザインは、2010年にアウディグループ傘下のランボルギーニ(Lamborghini)の子会社になっている。今回のUSTによる株式取得では、親会社がランボルギーニからUSTに移行するものの引き続きランボルギーニが株式を一定数保有する。このため、今後もアウディグループはイタルデザインの長期的な戦略パートナーであり、重要な顧客であり続けるとしている。
一方、USTとイタルデザインは、USTが持つ自動車工学、AI(人工知能)、SDV(ソフトウェアデファインドビークル)、デジタルエコシステムの設計における専門知識と、イタルデザインの車両および製品設計、エンジニアリング、試作、少量生産、車載エレクトロニクスに関する深い知識を融合させた強力なパートナーシップの構築を進めていく方針である。両社は、車両のコンセプト企画から設計、ハードウェアとソフトウェアの開発、生産システムに至るまで包括的かつ統合されたサービスを提供できるようになるという。
この統合アプローチは、自動車業界で求められているデジタル対応の車両開発支援する狙いがある。USTは世界30カ国以上に拠点を展開しており、この車両開発支援サービスを世界規模に拡大していく方針である。また、イタリアなど欧州を中心に展開してきたイタルデザインの国際的なプレゼンスを高めることも可能になる。米国企業であるUSTが新たに親会社となるものの、イタルデザインが持つイタリアの伝統、デザイン文化、従業員の才能を尊重する方針を示している。
今回のUSTによるイタルデザイン株式取得の詳細は、買収金額なども含めて非公開となっている。
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