アウディ ジャパンは2024年7月8日、潮風による塩害への対策を施したEV(電気自動車)向け充電器を設置したと発表した。設置場所はTHE HOTEL YAKUSHIMA Ocean & Forest(鹿児島県屋久島町)で、塩害対策を施した出力8kWの普通充電器2基を設置している。
潮風に含まれる塩分は電気機器を腐食、劣化させるため不具合の原因となる。THE HOTEL YAKUSHIMAはアウディのEVをレンタルするサービスを運営しているが、ホテルが海岸沿いに立地しているため塩害対策が必要だった。
アウディは、ニッケルを多く含み耐食性があるステンレス鋼板SUS(304)を採用した充電器の耐塩害ボックスを開発した。ボックス中央部に開口部を設けて充電ケーブルを通すことで、ボックスの扉を閉めたまま充電できるようにした。開口部にはブラシをつけることで充電時のケーブルの動きにも対応する。ボックスには塩害を防ぐ特殊塗料も使用することで、潮風の塩分から充電器を守る。また、強風にも耐えるよう充電器をアンカーボルトで強固に固定した。
今回の取り組みは、アウディが2023年7月に屋久島町やファーレン九州と締結した包括連携協定に基づいている。充電器を設置するだけでなく、地域の自然と共存できるような設備を整えることがEVの普及において重要だという認識の下、専門家のアドバイスやガイドラインを参照して充電器の塩害対策に取り組んだ。耐塩害ボックス付き充電器を設置したことで、屋久島でのEVの利便性をさらに向上させるとしている。
アウディでは、出力8kWの普通充電器の設置を全国で進めており、2024年6月末時点で103カ所に202基を設置した。急速充電器に関してはフォルクスワーゲングループの各ブランドのEVオーナーを対象に最大出力150kWの急速充電ネットワークを提供する他、充電施設「アウディチャージングハブ」の運営も行っている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 三菱自「ミニキャブEV」が3000台受注、日本郵便向け
三菱自動車は日本郵便の集配用車両として、軽商用EV「ミニキャブEV」を3000台受注した。 - ホンダフリード全面改良、3列目にこだわり他社の競合モデルと差別化
ホンダは8年ぶりにフルモデルチェンジした「FREED」を発表した。 - 東芝などが次世代リチウムイオン電池、負極にニオブチタン酸化物
東芝、双日、ブラジルのCBMMはニオブチタン酸化物を負極に用いた次世代リチウムイオン電池の開発に成功した。 - マルチパスウェイ、EVのCO2削減、車電分離……クルマの脱炭素の形は
トヨタ自動車の中嶋裕樹氏がマルチパスウェイの意義、EVが製造時に排出するCO2の削減に向けたさまざまなアプローチのアイデア、バッテリーのリユースやリサイクルに向けた“車電分離”の提案など、自動車のカーボンニュートラルについて幅広く語った。 - ホンダN-VAN e:は補助金で200万円以下、車電分離で低価格なリースも
ホンダは軽商用バンタイプのEV「N-VAN e:」を2024年10月10日に発売すると発表した。 - 米国でEV購入意向を調査、2024年は検討する人が前年より減少
J.D.パワーは、2024年米国EV検討意向調査の結果を発表した。新車購入者のEV検討率が、前年から3ポイント減の58%となっている。EV検討率が前年比で減少したのは、2021年の調査開始以降で初だという。