抵抗測定と昇圧駆動を1チップで備える16ビットマイコン:組み込み開発ニュース
セイコーエプソンは、高精度な抵抗測定機能と昇圧回路を内蔵した16ビットマイコン「S1C17W11」のサンプル出荷を開始した。セルフヘルスケア機器や小型計測機器の省電力化と小型化に貢献する。
セイコーエプソンは2025年11月19日、低消費電力で高精度な抵抗測定機能を備えた、16ビットマイクロコントローラー「S1C17W11」のサンプル出荷を開始したと発表した。
S1C17W11は、エプソン独自の低消費電力技術に加え、CR発振型A-Dコンバーター(RFC)を搭載。抵抗値を周波数に変換した上で24ビット相当のカウンターで測定することで、体温計や水質計など抵抗値に依存するセンシング用途で高精度な測定を可能にする。SLEEPモードでは代表値109nAの待機電流を達成し、ボタン電池による長寿命駆動を支える。
さらに、LCDドライバー(20SEG×1〜4COM)やブザー、LED駆動用昇圧回路を内蔵し、従来は外付けが必要だった回路をマイコン単体でまかなう。最大5Vの昇圧によりLEDの光量やブザーの音圧を高められ、騒音下や視認性が低い環境でも確実な通知が可能になる。
48KBのFlashと128BのEEPROMを内蔵し、校正データや測定履歴を保持できるため、基板上での書き換えや保守性も向上。シリアルインタフェースはUART、SPI、I2Cを備え、用途に応じた機器設計を支援する。測定用基準電源、複数の内蔵発振回路、電源電圧検出回路、タイマー類も搭載し、小型計測機器やIoT(モノのインターネット)センサー端末を中心に幅広く展開できる構成となっている。
アプリケーションとしては、体温計、生体計測機器、水質塩分測定器、食品検査端末、産業用ハンドヘルド計測器、IoTセンサー端末などを想定する。
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