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電波暗箱で約20年使える電波吸収体、加水分解に耐性ありMWE 2025

リケンNPRは、マイクロ波技術関連の展示会「MWE 2025」で、マイクロ波/ミリ波用電波吸収体「PFP-5」や「ノイズ抑制シート」を紹介した。

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 リケンNPRは、マイクロ波技術関連の展示会「MWE 2025(2025 Microwave Workshops and Exhibition)」(会期:2025年11月26〜28日、パシフィコ横浜)に出展し、マイクロ波/ミリ波用電波吸収体「PFP-5」や「ノイズ抑制シート」を披露した。

軽量で強度があり折れにくい電波吸収体

 2025年秋に発売されたPFP-5は、マイクロ波やミリ波の電波吸収特性に優れるもので、アンテナ評価電波暗室や電波暗箱において外部からの電波の侵入を防ぎ、内部で発生した電波の反射を減らす用途に適している。リケンNPRの説明員は「高さが50mmと低いため、電波暗箱にも設置しやすい」と語った。

「PFP-5」
「PFP-5」[クリックで拡大]

 同製品は、ポリプロプレン(PP)が基材のため、軽量で強度があり折れにくい。燃焼しても有毒なガスが発生しない他、耐油性と耐薬品性にも優れている。裏面にマグネットシートを貼ったタイプもラインアップしており、同タイプでは設置や取り外しが容易だ。

 同製品の対応周波数は3G〜100GHzで、通常品の重さは130g、マグネットシート貼り付け品は170g、サイズは300×300×50mm(共通)となる。プラスチック材料の難燃性を評価する米国の安全規格「UL94」の難燃性グレードはHBFとなっている。

 同製品の電波吸収特性は、1GHzで10dB、3GHzで12dB、5GHzで15dB、10GHzで25dB、18GHzで35dB、40GHzで40dB、100GHzで50dBとなる。

 リケンNPRの説明員は「アンテナ評価電波暗室や電波暗箱でこれまで採用されてきたウレタン製の電波吸収体は、加水分解が起きやすく、利用開始から約5年で劣化してしまうことが多かった。一方、PFP-5は加水分解への耐性が高く、20年程度の長期使用に耐え得る」と利点に触れた。

PFP-5の概要
PFP-5の概要[クリックで拡大] 出所:リケンNPR

 ノイズ抑制シートは、シート層、粘着テープ、セパレータで構成される。シート層は磁性粉末とアクリルから成る。同製品は、磁性粉末の磁気損失によってノイズを熱に変換する他、透磁率が大きく、シート層が厚いほどノイズ抑制が高い。粘着層となる粘着テープが付いているため、集積回路(IC)チップなどの電子部品のノイズ源に直接貼り付けて使える。柔軟性もあるため、凹凸部やケーブルへの貼り付け、切断加工にも対応する。オプションとして、表面に絶縁PET層の貼り付けや粘着層のカスタムに応じる。リケンNPRの説明員は「ノイズ抑制シートはICチップなどの電子部品に直接取り付けることで、放射ノイズや静電気の対策が行える」と話す。

「ノイズ抑制シート」
「ノイズ抑制シート」[クリックで拡大]

 同製品では対応周波数帯域などが異なる「MF」「HF1」「HF2」「UF」の4種類をラインアップしている。対応周波数帯域は、MFが3MHz〜3GHzで、HF1とHF2が300MHz〜30GHz、UFが3G〜40GHzとなる。透磁率(μ')at3MHzは、MFが200、HF1は30、HF2とUFは10となっている。表面抵抗(Ω/□)は、MF、HF1、HF2が104<で、UFは108<となる。いずれも対応温度範囲は−40〜+125℃となっている。

 プラスチック材料の難燃性を評価する米国の安全規格「UL94」の難燃性グレードは、MF、HF1、HF2がHB相当で、UFはV0相当となる。シート層厚は、MF、HF1、HF2が、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.5mmに対応し、UFは、0.05mm、0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.5mm、1.0mmに応じる。

ノイズ抑制シートの概要
ノイズ抑制シートの概要[クリックで拡大] 出所:リケンNPR

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