20dB以下の広帯域ミリ波を吸収するシート、対応周波数帯の調整も可能:第16回 高機能素材 Week
五洋紙工は、「第16回 高機能フィルム展 FILMTECH JAPAN」に出展し、FA機器などの電磁波対策に用いるミリ波吸収シートの開発品を披露した。
五洋紙工は「第16回 高機能素材 Week −Highly-Functional Material Week−」(会期:2025年11月12〜14日、幕張メッセ)内の「第16回 高機能フィルム展 FILMTECH JAPAN」に出展し、ミリ波吸収シートの開発品を披露した。
製品化の課題は厚み
吸収層とアルミ製の反射層から成る同開発品は、ミリ波帯の不要電磁波を吸収するため、電磁波ノイズ規格が厳しいFA機器の窓などに取り付けることで電磁波対策となり、誤作動を防げる。データセンターなどでサーバラックが設置された部屋の窓に同開発品を取り付けることで、サーバにおける電磁波の影響を抑えられ、安定したネットワーク環境を構築できる。また、車載ミリ波レーダーやミリ波センシングの使用場面における不要電波の除去にも使える。
さらに、ピンポイントの周波数のみを吸収する従来品とは異なり、20dB以下の幅広い周波数帯域のミリ波吸収に対応する。五洋紙工の説明員は「20dB以下の範囲で55〜105GHzまでのミリ波を吸収できる。高入射角でも幅広い周波数帯で強いミリ波の吸収を示している。吸収層の設計により吸収周波数帯を調整することも可能だ」と述べた。
同開発品はシート総厚が0.8〜1.2mmの通常タイプとシート総厚が0.6〜0.9mmの薄型タイプを用意している。「現状の課題はシートの厚みが製造の原理上、分厚くなってしまうことだ。厚みがあるとロール状に巻くなどの加工が難しくなる。そのため、シート総厚が0.6〜0.9mmの薄型タイプを安定的に生産することを目指している。この目標を達成できれば、薄型タイプでミリ波吸収シートを製品化できるとみている」(五洋紙工の説明員)。
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