独自の「編み込み」で柔軟性を向上、消化管閉塞治療用の新型ステント:医療機器ニュース
オリンパスは、悪性腫瘍による消化管閉塞の治療に用いる消化管用メタリックステント3種について、SBカワスミと国内独占販売契約を結び、オリンパス初の消化管用メタリックステントの国内販売を開始する。
オリンパスは2025年11月11日、悪性腫瘍による消化管閉塞の治療に用いるメタリックステント3種「スプライダー胃十二指腸ステント」「ジャバラ大腸ステント」「Bactrian大腸ステント」を同年12月上旬に発売すると発表した。消化管用メタリックステントの国内販売は、同社初になるという。
SBカワスミが製造する3製品は、悪性腫瘍で狭くなった胃や十二指腸、大腸の内腔を内視鏡下で拡張することを目的とする。金属製メッシュ構造の筒状体を狭窄部に留置し、食事摂取不能や腸閉塞の原因となる悪性消化管狭窄への低侵襲治療に用いる。
スプライダー胃十二指腸ステントは、金属に糸を編み込む独自製法で柔軟性を高めた。屈曲の強い胃や十二指腸にもフィットしやすく、消化管への負荷軽減が期待される。
ジャバラ大腸ステントは、高い柔軟性を持つカバー付きステントで、大腸の伸縮に追従しやすい構造とした。表面カバーにより網目からのがん細胞の侵入を抑え、再狭窄リスクの低減とQOL維持を目指す。Bactrian大腸ステントは、先端側だけでなく手元側からも展開できる独自デリバリーシステムを採用し、内視鏡画像を確認しながら留置位置を調整しやすい仕様とした。
オリンパスは、日本国内での独占販売契約を締結することで、3製品を消化器科処置具のラインアップに加える。これにより、悪性消化管狭窄に対する内視鏡治療の選択肢を広げ、患者ごとに適した低侵襲治療の提供を図るとしている。
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