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損失を半減する次世代縦型GaNパワー半導体、AIやEVの効率化を推進:組み込み開発ニュース
onsemiは、AIデータセンターやEVなどの高電力アプリケーション向けに、次世代縦型GaNパワー半導体を発表した。GaN-on-GaN構造で高電力密度と効率を両立し、損失を約50%低減する。
onsemiは2025年10月30日、AI(人工知能)データセンターやEV(電気自動車)などの高電力アプリケーション向けに、次世代縦型GaN(窒化ガリウム)パワー半導体を発表した。独自のGaN-on-GaN技術を採用し、電流を垂直方向に流す構造で高電圧動作と高速スイッチングを両立する。
この構造により、従来比で約50%の損失低減と3分の1の小型化を達成した。電力密度を高めながら発熱を抑え、冷却コストを削減する。AIサーバのDC-DCコンバーターではラック当たりコストを下げ、EVでは高効率インバーターにより航続距離を延長できる。
充電インフラでは、より高速かつ小型で堅牢(けんろう)性の高い充電器が可能になり、再生可能エネルギー分野では、太陽光および風力インバーターの高耐圧化とエネルギー損失の低減に寄与する。
エネルギー貯蔵システムでは、バッテリーコンバーターおよびマイクログリッドのための高速かつ高効率、高密度の双方向電力供給が可能になり、産業オートメーション分野では、より小型で低発熱かつ高効率のモータードライブおよびロボティクスを実現する。また、航空宇宙、防衛、セキュリティ分野でより高い性能、強化された堅牢性、コンパクトな設計に対応する。
同社は、米ニューヨーク州シラキュース拠点で開発を進め、130件以上の関連特許を取得。700Vと1200Vクラスのデバイスをサンプル出荷予定としている。
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