オンセミが縦型GaNと最新ADASセンサーを披露、日本市場へは「安定供給」を強調:組み込み開発ニュース(1/2 ページ)
オンセミが2027年度の量産化を目指す縦型GaNデバイス「Vertical GaN」を紹介するとともに、ADAS向け最新イメージセンサーのデモンストレーションを披露した。
オンセミ(onsemi)は2025年11月11日、東京都内で記者説明会を開催した。同社が発表した縦型GaN(窒化ガリウム)デバイスである「Vertical GaN(vGaN)」を紹介するとともに、ADAS(先進運転支援システム)向け最新イメージセンサーのデモンストレーションを披露した。
縦型GaNデバイスのサンプル提供開始、2027年度量産化目指す
オンセミ日本法人 代表取締役社長の林孝浩氏は、同社が2025年10月30日(米国時間)に発表した、縦型GaNデバイスであるvGaNを紹介した。新開発のvGaNは、独自のGaN-on-GaN技術を採用することで、現行のGaNデバイスで一般的な電流をチップ表面に流す横型構造ではなく、シリコンパワー半導体と同じ縦型構造を実現した。「横型GaNデバイスは耐圧が低いことが課題だった。縦型構造のvGaNは、シリコンパワー半導体と同等の高い耐圧が可能になり、GaNデバイスの特徴ある3〜5倍の高速スイッチング動作も実現できる」(林氏)
同社によると、vGaNを用いたハイエンド電力システムはエネルギー損失を約50%削減できるという。vGaNは、デバイスそのもののサイズも横型GaNデバイスに比べて約3分の1に小型化できている。
このvGaNは2027年度をめどに量産化予定で、AI(人工知能)データセンター、EV(電気自動車)、再生可能エネルギー、航空宇宙の4分野への展開を狙う。同社は量産に向けて、米国ニューヨーク州シラキュースにある広さ約6100m2の専用工場で開発を進めている。
また、説明会ではサンプルの提供を開始することを発表し、報道陣に試作サンプルのモックアップを公開した。
ADASの普及でセンサーへの要望高まる
次に、オンセミ ゼネラル・マネージャー車載センシング部門のジェフ・バルー氏が車載向けイメージセンサーの最新技術について紹介した。オンセミは2004年に車載用HDR(ハイダイナミックレンジ)イメージセンサーを開発して以来、20年以上にわたり事業を展開している。
日本市場においては、「当社のセンシング事業売り上げの約20%が日本への直接出荷であり、過去5年間で1億3000万個以上のイメージセンサーを日本で販売している。極めて重要な市場だと思っている」と強調した。今後は、製品の安定供給を最重要課題と位置付け、サプライチェーンのさらなる高効率化を目指す方針を示した。
また、全世界の市場では、ADASやデジタルミラーに使われるイメージセンサーへの要望が「非常に高まっている」と説明。具体的には、高コントラストかつ低照度での認識、信号機などに用いられるLED表示を正確に捉えるLEDフリッカー対応、幅広い温度環境で動作する堅牢(けんろう)性などが求められているという。
続くデモンストレーションでは、このようなイメージセンサーへの高い要求に応える製品として、3種類のデモンストレーションを公開した。
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