ニュース
燃料電池の小型セルを7.6分でEIS測定するシステム:研究開発の最前線
日置電機は、水電解セルと燃料電池の研究開発分野で使用する、電気化学インピーダンス測定システムを発売すると発表した。
日置電機は2025年10月29日、水電解セルと燃料電池の研究開発分野で使用する、電気化学インピーダンス(EIS)測定システム 「ALDAS-α(アルダスアルファ)」を発売した。1〜5cm2ほどの小型セルを高電流密度で評価できる。
ALDAS-αは、小型セルを対象とした研究開発向けモデルだ。研究開発では、さまざまな条件下でセルを稼働させながら、EIS測定で内部状態や劣化要因を推定する。一般的にセルのEIS測定は1回30分以上の時間を要するが、ALDAS-αは1回約7.6分と、測定時間を短縮。ユーザーの測定サイクルを改善可能だ。
また、現在使用している評価装置を改造することなく接続し、EIS測定を開始できる。測定器本体から、DC 20Aまでの電流を印加できる。セルスタック内で最大8セルの同時計測に対応し、セルごとの性能比較を可能にした。基礎研究から実証研究段階における測定で貢献が期待されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
CNFを用いた燃料電池用の高分子電解膜を開発、高いプロトン伝導性を実現
王子ホールディングスと山形大学は、セルロースナノファイバー(CNF)を主成分とする、燃料電池用「高分子電解膜(PEM)」の開発に成功したと発表した。
業界最薄クラスのガス拡散層を開発、燃料電池の小型化に貢献
帝人は、同社が開発した繊維状炭素とパラ系アラミド繊維を独自の紙すき技術で組み合わせることにより業界最薄クラスのガス拡散層を開発した。市場が拡大する燃料電池の小型化、高性能化に貢献する。
高性能かつ耐久性に優れた固体高分子形燃料電池用の電解質膜を開発
早稲田大学は、芳香族系高分子電解質膜をフッ素系ナノファイバーで複合化し、高性能かつ高耐久の固体高分子形燃料電池を作製した。次世代燃料電池自動車などへの応用が期待される。
汗で発電する高出力のウェアラブル乳酸バイオ燃料電池アレイを開発
東京理科大学は、和紙を基板材料とする薄膜型ウェアラブル乳酸バイオ燃料電池アレイを共同開発した。汗中の乳酸で発電し、高出力が得られることから、汗中物質の濃度をモニタリングするウェアラブルデバイスの実用化に貢献する。
燃料電池バスから電力を供給、災害時は体育館の照明を5日間点灯可能な電源車に
トヨタ自動車は、燃料電池バスの燃料電池で発電した電力を、車両内に設置したコンセントから外部に供給できるシステムを開発した。この他、最大9.8kWの電力を約50時間供給できるV2Hシステムの開発も進めている。
