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導電性シートのリサイクルスキーム確立に向け実証実験開始リサイクルニュース

東洋インキとマルアイは、導電性シートの水平リサイクルスキーム確立に向けた実証試験を開始した。

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 東洋インキは2025年11月10日、マルアイと共同で、導電性シートの水平リサイクルスキーム確立を目的とした実証試験を開始したと発表した。

 導電性シートとは、プラスチック基材に導電/帯電防止インキをコーティングしたもので、主に電化製品や自動車に使われる電子部品を静電気から保護する搬送用の導電トレイやキャリアテープに活用されている。このようなプラスチックに施された印刷は、基材からの分離が難しくリサイクル促進を阻害する要因の1つとなっている。

ポストコンシューマーリサイクルも推進

 両社が2024年に共同開発した「リサイクル可能な導電性シート」は、マルアイ製の導電性シート「スーパークリーンシート」に東洋インキの「脱墨技術」を導入することで、導電性シートが有する表面抵抗値や真空成型性を損なわずに、印刷した導電インキを容易に脱墨することを可能にした。

リサイクル可能な導電性シートの構成
リサイクル可能な導電性シートの構成[クリックで拡大] 出所:東洋インキ

 導電性シートの基材であるプラスチックと導電インキの間にアルカリ処理で溶解する脱墨層を設けることで、アルカリ溶液中で導電性シートに熱処理などを行うと脱墨層が溶解し、導電インキがプラスチック基材から脱墨する。

 これにより従来はプラスチック廃棄物として処理されていた使用後のプラスチック基材をプラスチック原料として再利用できるようになる。さらに、導電インキはアルカリ溶液に溶解せず膜の状態で脱墨できるため、膜を回収することでアルカリ溶液もリサイクルできる。なお、アルカリ溶液を繰り返し使用するには、脱墨層の溶解を踏まえたアルカリ濃度幅の一定管理が必要になる。

リサイクル可能な導電性シートを成形加工したトレイの脱墨プロセス
リサイクル可能な導電性シートを成形加工したトレイの脱墨プロセス[クリックで拡大] 出所:東洋インキ

 今回の実証実験では導電性シートの「ポストインダストリアルリサイクル」のスキームについて検証を進めている。手順は以下の通りだ。まず、加工会社でマルアイ製の「リサイクル可能な導電性シート」を導電トレイに成形した際に生じた端材やトレイサンプルを回収。これらは、東洋インキで破砕/脱墨処理し導電インキを取り除いた透明なプラスチック片とする。その後、シートメーカーが導電トレイ用シートとして再びシート化している。

これまで廃棄していたプラスチック基材の循環が可能に
これまで廃棄していたプラスチック基材の循環が可能に[クリックで拡大] 出所:東洋インキ

 加えて、使用済み導電トレイの“ポストコンシューマーリサイクル”に関しても実証実験を進めている。

 これらの取り組みを通して、プラスチック製品の回収、脱墨から再生までの「水平リサイクル」スキームを確立することで、プラスチックの資源循環を目指す考えだ。

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