2040年のEV世界新車販売台数は2024年対比4.1倍の4695万台:製造マネジメントニュース
富士経済は、EV、HEV、PHEVの世界市場を調査し、「2025年版HEV、EV関連市場徹底分析調査」を発表した。2040年の世界におけるEV新車販売台数は2024年対比4.1倍の4695万台を見込む。
富士経済は2025年10月29日、EV(電気自動車)、HEV(ハイブリッド車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)の世界市場を調査し、その結果を「2025年版HEV、EV関連市場徹底分析調査」として発表した。2040年の世界におけるEV新車販売台数は、2024年対比4.1倍の4695万台を見込む。
2025年の同市場に関して、EVは自動車メーカーがEV固有の技術や内外装を採用し、広告宣伝に力を入れている。また、インドやアセアンなど新興国での需要が旺盛だ。HEVやPHEVは、EVと違い充電スタンドを探す手間がかからないなどの利便性や低燃費であること、また、HEVは内燃車と大きく価格が変わらないなどから、順調に成長すると予測する。
SDV(ソフトウェアデファインドビークル)は、搭載ソフトウェアのアップデートにより、自動運転やインフォテインメントなどの機能の追加や改善ができることから、EVとの相性が良い。よって、今後は北米や欧州、大市場を抱える中国に加えてインドでもEVが急成長するだろう。
ただし、欧州におけるEVの優遇措置の終了やロシア問題によるエネルギー価格の高止まりなどを背景に伸びは鈍化している。2040年の新車販売台数では50%弱のシェアを占め、4695万台を見込む。一方、HEVやPHEVは価格の手ごろ感や低燃費である点から一定のニーズがあり、それぞれ1475万台と1388万台と予測する。
エリア別のEV(乗用車)新車販売台数では、中国が市場をけん引する。欧州や北米も需要は伸長する。特に中国は市場規模が大きく、2027年に新エネルギー車比率45%、2035年に内燃車販売禁止を目標としている。このため、2040年までに需要が大きく伸びると予測される。
日本のEV/HEV/PHEV(乗用車)新車販売台数に関しては、日本では自動車メーカーがHEVに力を入れていることから、HEVはEVやPHEVと比較して広く普及している。ユーザーが、内燃車との価格差が大きくなく、低燃費、静寂性などをメリットとして認識しているためだ。HEVの需要は高く、2025年のHEVの新車販売台数は134万台を見込む。2040年に向かってHEVは引き続き好調を維持すると考えられる。また、自動車メーカーが工場新設、増強などの設備投資を行っていることや国の環境規制などから、EVやPHEVもある程度普及すると予測する。
インドは、カーボンニュートラル社会を目指し、国家戦略でEVの普及を促進している。インドではもともと二輪車や三輪車が広く使われているが、都市部ではこれらの電動化が先行して進んでおり、地方部にも広がりを見せている。政策の後押しもあり、電動化の流れは四輪車にも次第に影響を与えていくと思われ、2025年のEV新車販売台数は14万台と予測する。
国の電動車普及と産業強化の政策の後押しにより、EV工場が積極的に誘致されているため、これからEVの普及が加速することが見込まれる。国家目標として2030年までに新車販売台数の30%を目指すこともサポート要因となり、2040年は、2024年対比で30.2倍を予測する。
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