シャープが2027年度にEV市場参入へ、広々車内空間のコンパクトミニバンで勝負:Japan Mobility Show 2025
シャープは、「Japan Mobility Show(ジャパンモビリティショー) 2025」で開催したプレスカンファレンスにおいて、2027年度をめどに、開発中のコンパクトミニバンタイプのEVを国内で発売すると発表した。
シャープは2025年10月30日、「Japan Mobility Show(ジャパンモビリティショー) 2025」(プレスデー:同年10月29〜30日、一般公開日:同年10月31日〜11月9日、東京ビッグサイト)で開催したプレスカンファレンスにおいて、2027年度をめどに、開発中のコンパクトミニバンタイプのEV(電気自動車)を国内で発売すると発表した。
シャープは今回のJapan Mobility Show 2025で、自社開発EVのコンセプトモデル「LDK+(エルディーケープラス)」の第2弾を初公開した。LDK+は、鴻海グループが展開しているEVのオープンプラットフォーム「MIH」を用いており、LDK+の第2弾は全長4.3mクラスとされる「Model A」をベースとするコンパクトミニバンサイズの車両となっている。
同社 専務執行役員 CTOの種谷元隆氏は「一般的な自家用車の場合、走行している時間は全体の5%にすぎず、残りの95%は駐車した状態になっている。EVは排ガスも出さないし音も静かという特徴があるにもかかわらず、停まっている間は何の価値も出してない。それはもったいないじゃないか、暮らしの中でもっと使っていける、もっと楽しい生活が待っている。そういうことをシャープとしてクリエイトしていきたいというのがLDK+のコンセプトになっている」と語る。
LDK+第2弾はコンパクトミニバンのサイズではあるものの、駐車時にシアタールームやリモートワーク部屋として活用可能な広々としたレイアウトとなるように車内空間にこだわって開発されたコンセプトカーだ。運転席と助手席の間には、テーブルやプロジェクターを備えたコンソールボックスを配置しており、運転席を後ろ向きに回転させると、後部座席と対面し、リビングのような空間が生まれる。後部座席上部に設置されたスクリーンを下ろせば、映画を楽しんだり、大画面でオンライン会議をしたりできる。「シャープはリビングの空間づくりで一日の長があり、そこに家電技術に加え、独自のエッジ生成AI(人工知能)技術である『CE-LLM』やAIとIoT(モノのインターネット)を融合したAIoT技術を組み合わせて新たな価値を提供できると考えている」(種谷氏)という。
なお、2027年度に市場投入するEVは、このLDK+第2弾をベースとしたコンパクトミニバンとなる予定だ。種谷氏は「顧客としてはファミリー層を想定しており、そのために大きすぎず小さすぎずというサイズ感のコンパクトミニバンが売れ筋になるだろう。販売価格も、市販のコンパクトミニバンと同等クラスになるようにしたい。現在、国内市場ではEVが売れているという状況ではないが、これはEVならではの価値が伝わり切っていないからだと考えている。LDK+のようなEVならではの価値で切り込んでいけば、逆に今の普及率が低い状況はチャンスがあるのではないかと考え事業化を決めた」と述べている。
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