シャープは2024年度中にアセットライト化にめど、3年ぶりの通期最終黒字へ:製造マネジメントニュース
シャープが2024年度(2025年3月期)第3四半期(10〜12月期)の連結業績について説明。2024年度通期の連結業績で3年ぶりの最終黒字となる見通しを示した。
シャープは2025年2月7日、オンラインで会見を開き、2024年度(2025年3月期)第3四半期(10〜12月期)の連結業績について説明した。家電製品を中心とするブランド事業で増収増益を達成しつつ、2022〜2023年度の巨額赤字の要因になっていたデバイス事業の構造改革を進めて営業赤字を縮小。第3四半期単体の営業利益で前年同期比8.8倍の199億円となったことを受けて、2024年度通期の連結業績で3年ぶりの最終黒字となる見通しを示した。
2024年度第3四半期の連結業績は、売上高が前年同期比7.4%減の5615億円、営業利益が同8.8倍の199億円となった。ただし、営業外損失における為替差損が175億円と大きくなったことにより経常損益は同41億円悪化の6億円の損失、デバイス事業を中心に工場の用地売却や事業売却などを進めるアセットライト化の関連で減損損失を172億円、事業構造改革費用を88億円計上したことから最終損失は同236億円悪化の265億円となった。
2024年度第1〜第3四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比6%減の1兆6579億円、営業利益が同238億円改善の203億円、経常利益が同87.4%減の8億円、最終損失が同55億円悪化の35億円となっている。
2024年度通期の連結業績見通しは、売上高が前年度比8.3%減の2兆1300億円、営業利益が同403億円改善の200億円、経常利益が同80億円改善の10億円で、最終利益は黒字を達成できるとした。この最終黒字は、足元で増収増益の傾向が基調となっているブランド事業によって、デバイス事業の損失をカバーできる状況にあるとともに、デバイス事業のアセットライト化の取り組みが進むとともに、工場用地売却の譲渡益を計上することで達成できる。最終利益の黒字額は明らかにしていないものの、前回予想の50億円から積み増したい考えだ。
なお、2024年度内の重点取り組みとして挙げているデバイス事業のアセットライト化については、ディスプレイデバイスとエレクトロニックデバイスの双方でめどを付けたい考えだ。まず、ディスプレイデバイス傘下のグリーンフロント堺(堺市堺区)は、堺ディスプレイプロダクトの液晶工場と関連施設について、2024年度内にソフトバンクへの譲渡を完了する予定。AIデータセンターの運営で基本合意しているKDDIとは、2025年4月までの譲渡実行に向けて詳細を協議中だ。本社工場棟は積水化学工業と2025年1月30日に譲渡契約を締結しており、2025年10月に譲渡する予定である。
一方、エレクトロニックデバイスは、鴻海精密工業の子会社であるFullertain Information Technologieにカメラモジュール事業を譲渡する契約を2024年12月27日に締結しており、2025年度第1四半期(4〜6月期)に譲渡を完了する。半導体事業は、2024年度内の契約締結に向けて鴻海精密工業と継続協議中である。
シャープ 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの沖津雅浩氏は「2024年度内でアセットライト化に向けた取り組みに一定のめどを付けて、2025年度からはブランド事業を中心に成長を目指せるようにしていきたい」と述べている。
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