元日産の関氏が鴻海で考える、EVの苦境の乗り越え方:電動化(1/3 ページ)
シャープは技術展示イベント「SHARP Tech-Day’24 “Innovation Showcase”」において、親会社である鴻海精密工業とともに推進するEV戦略を発表した。
シャープは技術展示イベント「SHARP Tech-Day’24 “Innovation Showcase”」(2024年9月17〜18日、東京国際フォーラム)において、親会社である鴻海精密工業(ホンハイ)とともに推進するEV(電気自動車)戦略を発表した。
鴻海が取り組む「3+3」という新たな産業や技術への挑戦の中にはEVが含まれている。最初のEVである乗用車タイプの「モデルC」が既に台湾で販売されており、2025年には米国にも導入する。台湾では、鴻海のEVバス「モデルT」も普及している。2024年10月8〜9日のイベントでは、「モデルD」「モデルU」「モデルA」といった新型車も発表予定だ。
既存の自動車に近い製品ラインアップで自動車製造に参入した鴻海に対し、シャープは自家用車の稼働率の低さに注目したコンセプトカーを発表。駐車場に止まっている時間に、LDK(リビング、ダイニング、キッチン)にプラスするもう一部屋として自宅の一部のように使うことができる車室空間を提案している。
鴻海の関潤氏は、古くはシャープペンシルを開発したシャープのユニークな技術に期待を寄せる。独自技術と自動車のシナジーを創出するとともに、EVのソフトウェアとハードウェアをまとめた鴻海のプラットフォームの外販をより強固にしていきたい考えだ。
シャープがEVで発揮する強み
シャープがイベントで披露したコンセプトカーは「LDK+」という。2列シートのバンタイプで、後部座席が回転して後ろ向きになり、車内後方にある大型ディスプレイを使って仕事をしたり、映画を鑑賞したりすることができる。可動式のデスクも備えるなど、車内をプライベート空間として使うことを提案した。液晶シャッターによって、外から車内が見えないようにすることも可能だ。自宅とLDK+のセキュアな接続や、家での過ごし方を踏まえたAI(人工知能)による車内空間の提案などにも対応する。
LDK+には、車載カメラやさまざまなタイプの車載向けディスプレイの他、住宅とのエネルギー連携、ペロブスカイト太陽電池、プラズマクラスターや空気清浄機、AIアバターなどシャープが持つ技術を盛り込んだ。これまで取り組んできた家電やディスプレイ、ロボティクス、センサーなどデバイス技術を、鴻海が注力するEVにも生かし、移動以外での利便性を付加価値としていく。
搭載された技術について、関氏は「ドライバーモニタリングに必要なカメラをディスプレイに埋め込むなど、シャープが持つ潜在能力が細かな部分にも示されたコンセプトカーだ。シャープのドライバーモニタリングカメラは直径2mmと小さく、不格好な既存のドライバーモニタリングカメラとは全く違う」と評価した。
LDK+の車台は鴻海のモデルCと共通だ。なお、モデルCの車両サイズは全長4695×全幅1895×全高1625mmで、ホイールベースが2920mm。駆動用モーターの最高出力は172kW、最大トルクは340Nmで、1回の充電で走行できる距離は505km(NEDCモード)だ。
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