トヨタの米国関税影響は通期で1兆4500億円も、HEV好調で業績見通しを上方修正:製造マネジメントニュース
トヨタ自動車は2025年度(2026年3月期)第2四半期の連結業績について説明。米国関税の影響が通期で1兆4500億円の減益要因となる見込みだが、2025年度通期業績見通しは前回予想から上方修正した。
トヨタ自動車は2025年11月5日、東京都内とオンラインで会見を開き、2025年度(2026年3月期)第2四半期の連結業績について説明した。
2025年度第2四半期の連結販売台数は前年同期比5.0%増の478万3000台となった。日本市場で同3.3%増の97万台、北米市場で同13.8%増の153万3000台、欧州市場で同4.6%増の57万3000台と認証不正問題などの影響のあった前年度から大きく伸ばした。唯一、中国を含むアジア市場は同5.7%減の85万3000台となったものの、2024年度後半と比べると同程度の販売台数を維持している。なお、2025年度第2四半期のトヨタ・レクサス販売台数における電動車比率は、北米と中国をはじめ各地域で引き続き好調なHEV(ハイブリッド車)がけん引して前年度から2.5ポイント増加し46.9%となった。
2025年度第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比5.8%増の24兆6307億円、営業利益が同18.6%減の2兆56億円、税引き前利益が同9.3%減の2兆4781億円、当期利益が同7.0%減の1兆7734億円となった。米国の相互関税の影響は大きく、9000億円の減益要因となった。これに日本における為替変動の影響で3900億円の減益となり、営業面の努力による6450億円の増益効果を打ち消した。
2025年度通期の連結販売台数は期初予想の980万台を据え置いた。ただし、トヨタ・レクサス販売台数については10万台増の1050万台に上方修正した。トヨタ自動車 執行役員 CFOの近健太氏は「高い商品力を背景に北米を中心とする強い需要に応えていく」と語る。
なお、2025年度通期トヨタ・レクサス販売台数を見ると、HEVを期初予想から約4万台上方修正する一方で、EV(電気自動車)については3万台の下方修正となっている。「EVの実需を見ていると当初想定よりもかなり下目に出ているのが足元の状況かと思う。顧客の状況、市場の状況を見ながら、適切な範囲で、適切なタイミングでいい商品を届けていきたい」(近氏)としている。
2025年度の連結業績見通しは2025年8月時点の予想から売上高、利益とも上方修正した。売上高が期初予想比5000億円増の49兆円、営業利益が同2000億円増の3兆4000億円、税引き前利益が同3100億円増の4兆1800億円、当期利益が同2700億円増の2兆9300億円。2025年9月に米国による相互関税の比率が妥結したことを受けて影響を精査し、通期の関税影響として1兆4500億円を減益要因として計上している。
近氏は「米国関税の影響がある中で、台数/構成、原価改善、バリューチェーン収益などで9000億円の改善努力を積み上げた。特にバリューチェーン収益は、世界の1億5000万台のトヨタ車保有がベースになって営業利益で2兆円規模にまで拡大している。これらの基盤となる足場固め活動により、安全/品質の徹底や余力創出を実現し、生産が安定化しているものの、米国関税の影響も重なって損益分岐台数は直近2年で大幅に上昇している。今後は、ヒト、モノ、カネの構えを見直して稼ぐ力につなげて、損益分岐台数を押し下げられるようにしていく」と述べている。
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