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トヨタはさらなる「足場固め」へ追加投資、2024年度通期業績見通しも据え置き製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

トヨタ自動車が2024年度上期の連結業績を発表。認証不正問題による減産の影響があったものの前年同期比で売上高を伸ばし、営業利益は減益となるも小幅に抑えた。2024年度の通期業績見通しは据え置いたものの、2024年度から進めている「足場固め」で追加投資を行う方針である。

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 トヨタ自動車は2024年11月6日、オンラインで会見を開き、2024年度(2025年3月期)上期(4〜9月期)の連結業績を発表した。売上高に当たる営業収益は前年同期比5.9%増の23兆2824億円、営業利益は同3.7%減の2兆4642億円、税引き前利益は同22.4%減の2兆7320億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同%減の1兆9071億円で増収減益となった。

トヨタ自動車の2024年度上期の連結業績
トヨタ自動車の2024年度上期の連結業績[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 連結販売台数は同4%減の455万6000台。2024年5月に発覚した認証不正問題により生産を停止した影響で、日本市場で同12.4%減の93万9000台となるなど、中国含むアジアを除いて各地域で前年割れとなった。小売りベースのトヨタ/レクサスの販売台数も同2.8%減の502万9000台となったが、HEV(ハイブリッド車)やPHEV(プラグインハイブリッド車)、EV(電気自動車)などを含めた電動車比率については同9.1ポイント増の44.4%となり好調に推移した。

トヨタ自動車の2024年度上期の連結販売台数
トヨタ自動車の2024年度上期の連結販売台数[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 トヨタ自動車はグループ内で続いた不正などへの対応を進めるための「足場固め」として、モノづくりの現場や仕入れ先、販売店などに向けた投資を2024年度から行っている。営業利益の増減要因では「人への投資」として1800億円を計上しており、このうち1150億円は仕入れ先や販売店向けとなる。この他、成長投資や販売台数減、日野自動車の北米向けエンジンの認証問題などが減益要因となったが、為替変動の影響に加え原価改善や営業面の努力、諸経費の低減努力などを積み重ねることで、営業利益の減益幅を950億円に押しとどめた。

トヨタ自動車の2024年度上期の連結営業利益増減要因
トヨタ自動車の2024年度上期の連結営業利益増減要因[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 2024年度の通期業績見通しは、営業収益が46兆円、営業利益が4兆3000億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が3兆5700億円で、2024年5月発表の期初見通しを据え置いた。税引き前利益のみ900億円減の4兆9800億円となっている。連結販売台数の見通しは期初予想から1.1%減の940万台に下方修正した。

トヨタ自動車の2024年度通期業績見通し
トヨタ自動車の2024年度通期業績見通し[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車
トヨタ自動車の2024年度販売台数見通し
トヨタ自動車の2024年度販売台数見通し[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 2024年度下期は「足場固め」の投資を強化、加速していく構えだ。通期では、先述した「人への投資」と成長領域への投資の合計で7000億円とする計画だったが、さらに1300億円を積み増して8300億円を投じる。このうち「人への投資」は5100億円に上る。この追加投資による減益要因をカバーする増益要因となるのが、2024年度上期に行っていた生産停止からの回復や、北米市場でのインセンティブ抑制などの施策だ。

2024年度通期業績見通しの連結営業利益増減要因
2024年度通期業績見通しの連結営業利益増減要因[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車
トヨタ自動車の宮崎洋一氏
トヨタ自動車の宮崎洋一氏

 生産台数については、2024年度下期はグローバルで年間1000万台の生産ペースに戻す計画である。2024年度上期の国内生産は、2023年度上期の169万3000台、期初予想の163万台に対して、大幅な減少となる153万4000台にとどまった。トヨタ自動車 取締役 副社長 CFOの宮崎洋一氏は「これは、認証課題への対応と、安全/品質を最優先とする環境/風土を見つめ直す時間を取るためだ」と説明する。

 しかし、2024年度下期は、2023年度下期の161万6000台、期初予想の172万台を上回る175万台に回復させる。「2024年10月から稼働を一部停止していた米国インディアナ工場も生産を再開しており、グローバルで年間1000万台に戻していく」(宮崎氏)という。

2024年度上期と下期の生産台数
2024年度上期と下期の生産台数[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 北米市場でのインセンティブ抑制は、コロナ禍以前の40日以上から10日以下と大幅に圧縮した在庫日数をベースにリーンオペレーションを維持しており、適切な価格での販売が可能な体制を維持している。北米市場でより在庫日数が少ないHEVの商品力が、販売の好調さの要因となっているとみられる。

米国での在庫日数の圧縮に基づきインセンティブを抑制する
米国での在庫日数の圧縮に基づきインセンティブを抑制する[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 また、既に販売した車両に対するメンテンナンスサービスなどを中心としたバリューチェーン収益も毎年1000億円を超えるレベルで拡大しており、増益要因となっている。SDV(ソフトウェアディファインドビークル)の増加と合わせたアップグレードサービスも強化し、バリューチェーン収益の拡大に寄与させていきたい考えだ。

バリューチェーン収益の推移
バリューチェーン収益の推移[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車
メーカー保証期間と延長保証サービス期間のそれぞれで収益が拡大している。SDV化によりさらなる上乗せも可能だ[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

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