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トヨタは2023年度のEV販売見通しを引き下げ、「HEVでシェアを維持」製造マネジメントニュース(1/2 ページ)

トヨタ自動車は2024年3月期第2四半期の決算を発表した。

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 トヨタ自動車は2023年11月1日、2024年3月期第2四半期(2023年4〜9月期)の決算を発表した。営業収益(売上高)は前年同期比24.1%増の21兆9816億円、営業利益が同124.2%増の2兆5592億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益が同121.1%増の2兆5894億円だった。

 2023年4〜9月期の連結販売台数は前年同期比14.1%増の474.4万台、トヨタ・レクサス販売台数は同9.1%増の517.2万台となった。日本、北米、欧州、アジア、その他地域の全てで販売が増加した。

 トヨタ・レクサス販売台数のうち、電動車は前年同期比38.1%増の182.6万台で全体の35.3%を占める。内訳はHEV(ハイブリッド車)が同33.5%増の169.5万台、PHEV(プラグインハイブリッド車)が同61.7%増の7万台、EV(電気自動車)は同7倍の5.9万台、FCVは同77.2%増の0.3万台だった。

2023年4〜9月期の業績(左)と販売台数(右)[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

原価改善でデジタル活用が貢献

 為替やスワップなどの影響を除くと、営業利益は前年同期から9600億円のプラスだった。資材高騰による3150億円の影響は原価改善2050億円で緩和したが、1100億円の減益要因となった。また、労務費やデジタル化への投資などの増加も2200億円の減益要因だった。これに対し、販売台数の増加や商品構成の改善、海外を中心とした価格改定により、1兆2900億円の増益要因を生み出した。

 この他、為替変動の影響は2600億円、スワップなどの評価損益やロシアでの生産終了などは1978億円のプラス要因となった。

2023年4〜9月期の営業利益の増減要因(左)と地域別の営業利益(右)[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 原価改善では、生産現場でのデジタル活用の進展が効果を挙げているという。検査工程でのAI(人工知能)カメラの導入、熟練技能者が持つ技能を教える時間を短縮するVR(仮想現実)の活用などが成果を出している。

中国事業は

 全ての地域で販売が増加したことを受けて、地域別の営業利益も全地域で増加した。営業利益率は日本が15.1%、北米が4.2%、欧州が7.2%、アジアが9.5%、その他地域が8.5%となっている。

 中国でのトヨタ・レクサス販売台数は、前年同期比0.3%増の100.5万台だった。為替変動や販売面での影響で、中国事業は減益となった。

 中国市場は価格競争が激化している。特に、電動車での値引き合戦の影響が大きく、EVも例外ではない。トヨタ自動車はまずは足元のシェアを維持する方針で、EVの販売減少はHEVを伸ばしてカバーする。これは価格競争に巻き込まれずに台数を確保する方策の1つと位置付けている。

 「価格競争が激しいのは、ユーザーにとって選択肢が増えているということだ。トヨタのEVにはまだ改善の余地があるとユーザーには思われている。ユーザーの声を反映した改良を適宜加えていきたい」(トヨタ自動車 副社長 CFOの宮崎洋一氏)

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