住友化学は住友ファーマ事業が好調も、米国関税の影響は100億円:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
住友化学は2026年3月期第2四半期の決算説明会で、住友ファーマ事業が好調なことや、ICT&モビリティソリューション事業などで米国の関税の影響を受けていることを公表した。
在庫調整で半導体プロセス材料が不調
その他のセグメントに関して、アグロ&ライフソリューション事業では、扱っている農薬がインドなどにおいて出荷数量が堅調に推移したが、南米において市況が下落した。飼料添加物のメチオニンは前年同期に比べ市況が下落し、出荷数量も減った。円高による在外子会社の邦貨換算差の影響もあった。これらの結果、売上高は前年同期比5.3%減の2130億円となった。コア営業利益は同21.2%減の112億円となった。
ICT&モビリティソリューション事業では、市場での在庫調整や需要時期の変動などにより、ディスプレイ関連材料、半導体プロセス材料である高純度ケミカルやフォトレジストの出荷数量が減少した。円高に伴う輸出手取りの減少や、在外子会社の邦貨換算差の
影響もあった。また、大型液晶ディスプレイ(LCD)用偏光フィルム事業の構造改革実施の影響も受けた。これらの結果、売上高は同7.8%減の2835億円となり、コア営業利益は同24.1%減の331億円となった。
住友化学 代表取締役 専務執行役員の佐々木啓吾氏は「ICT&モビリティソリューション事業では、(米国の)関税の影響が年初に最も大きくあった。当社全体で関税の影響は約100億円だ。ただし、関税の影響は期初予想の範囲で収まるとみている」と語った。
アドバンストメディカルソリューション事業では、医薬品原薬/中間体については一部製品の出荷時期が前年同期とは異なったことにより出荷数量が減少した。この結果、売上高は同21%減の211億円となり、コア営業利益は14億円の赤字となった。
その他の事業では電力/蒸気の供給、運送/倉庫業務などを行っている。同事業では、前連結会計年度に放射性診断薬事業などを売却したことにより、売上高は同55.6%減の226億円となり、コア営業利益は130億円となった。
住友ファーマ事業で北米での販売が引き続き好調と見込む
足元の市況を踏まえて、2026年3月期通期業績予想に関して、売上高は前回予想比2.1%減の2兆2900億円に下方修正し、営業利益は同52.4%増の1600億円、コア営業利益は同23.3%増の1850億円、親会社に帰属する当期利益は同12.5%増の450億円に上方修正した。
セグメント別では、ICT&モビリティソリューション事業とエッセンシャル&グリーンマテリアルズ事業の売上高とコア営業利益を、その他事業のコア営業利益を下方修正した。住友ファーマ事業の売上高とコア営業利益、その他事業の売上高を上方修正した。
エッセンシャル&グリーンマテリアルズ事業では、合成樹脂などの出荷数量が減少するため、売上高は前回発表予想を下回ると見込む。一方、住友ファーマ事業では、北米での販売が引き続き好調との見通しだ。
エッセンシャル&グリーンマテリアルズ事業の今後に関しては、シンガポールの子会社などで合理化を進めるという。住友化学 代表取締役 専務執行役員の佐々木啓吾氏は「シンガポールではこれまでにも、住友化学アジアでメタクリル酸メチル(MMA)とメタクリル樹脂(PMMA)の生産能力削減やリストラなどを行い、合理化を推進した。今後もシンガポールの子会社などで合理化を進めた上で、高収益品の生産にシフトし、損益の悪化を抑えようと考えている」と話す。
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