日野三菱ふそうの新会社ARCHIONの経営体制、事業会社2トップはダイムラーから:製造マネジメントニュース
日野自動車と三菱ふそうトラック・バスは、2026年4月1日に発足するARCHIONグループの経営体制について説明した。
日野自動車と三菱ふそうトラック・バス(以下、三菱ふそう)は2025年11月4日、オンラインで会見を開き、2026年4月1日に発足するARCHION(アーチオン)グループの経営体制について説明した。
ARCHIONは、ダイムラートラックとトヨタ自動車が25%ずつ出資し、日野自動車と三菱ふそうを100%子会社として傘下に置く持ち株会社である。2023年5月に4社が商用車事業の経営統合を発表した後、2025年6月にARCHION設立に向けた最終契約を締結している。
2025年10月にはARCHIONの取締役候補として、三菱ふそう 代表取締役社長・CEOでダイムラートラック 取締役のカール・デッペン氏が代表取締役・CEO、三菱ふそう 代表取締役副社長・CFOのヘタル・ラリギ氏が代表取締役・CFO、日野自動車 代表取締役社長・CEOの小木曽聡氏が取締役・CTOに就任し、取締役(非常勤)に住友理工 社外取締役の伊勢清貴氏とダイムラートラック 副社長、コーポレート・ディベロップメント部門責任者のクリスチャン・ヘルマン氏が就くことが発表されていた。
今回発表した経営体制では、先述の5人の取締役に4人の独立社外取締役が加わり、取締役会が9人体制となることを発表した。4人の独立社外取締役である安部和志氏、江藤彰洋氏、君嶋祥子氏、小林いずみ氏は、企業経営経験や専門的知見としてガバナンス/リーガル、財務/会計のスキルを備えた人材を選定したとしている。
ARCHION 代表取締役・CEOに就任予定のデッペン氏は「強固で透明性の高いガバナンスを構築できる取締役会を構築できた。ARCHIONの成功に向けた必要条件がそろったと考えている」と語る。
執行体制の人事としては、チーフオフィサー(CxO)と事業会社である日野自動車と三菱ふそうトラック・バスのトップを発表した。チーフオフィサーでは、CEOのデッペン氏、CFOのラリギ氏、CTOの小木曽氏に加えて、日野自動車 経営企画部 部長の輿水学氏がCAdO(Chief Administrative Officer)、三菱ふそう 人事本部長の河地レナ氏がCHRO(Chief Human Resource Officer)、日野自動車 CCO、内部監査機能 機能長の吉田憲生氏がCCLO(Chief Compliance & Legal Officer)と内部監査担当、日野自動車 CDO(Chief Digital Officer)の萩原恭太郎氏がCDOに就任する。
事業会社2社のトップは、ダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ CEOのサティヤカーム・アーリャ氏が日野自動車 代表取締役社長・CEO、ダイムラートラック、メルセデス・ベンツ・スペシャルトラック・カスタムテイラートラック事業部門 責任者のフランツィスカ・クスマノ氏が三菱ふそう 代表取締役社長・CEOに就任する。
ARCHIONの経営体制では、両事業会社ともダイムラートラックの出身者がトップを担うこととなった。その一方で、ARCHIONグループの執行体制の中核を成すチーフオフィサーについては、三菱ふそうから3人、日野自動車から4人という構成になっており、ダイムラートラックやトヨタ自動車からは加わっていない。なお、ARCHIONにダイムラートラックとともに25%出資するトヨタ自動車は、執行体制だけでなく取締役にも加わっていない。
デッペン氏は「例えば、アーリャ氏はダイムラートラックの経験を経ているが、三菱ふそうで日本の事業に携わっていたことがあるなど、商用車に加えて日本市場のことをよく知っている。国際的であるとともに日本に拠点を置く企業のトップとしてふさわしく、ARCHIONを成功の未来に導く人員を選任できたと考えている」と述べる。
小木曽氏も「日野自動車の新たなトップを選ぶ上で、グローバルの経験とともに商用車の経験もある人材を求めていた。残念ながらトヨタ自動車にそういった人材がいない中で、デッペン氏とも相談しながらアーリャ氏を迎えることにした」と説明する。
また、チーフオフィサーの構成については「事業統合によって早期にシナジーを出すには互いの会社のことをよく知る必要がある。そこでチーフオフィサーは、日野自動車と三菱ふそうの経験がしっかりある人材でチームを作った」(小木曽氏)という。
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