ダッシュボードを最短10秒で作成 ウイングアークが生成AI版「MotionBoard」販売:製造ITニュース
ウイングアーク1stは、同社のBIツール「MotionBoard」に生成AI機能を追加した新バージョンを発売すると発表した。
ウイングアーク1stは2025年10月15日、東京都内で記者会見を開き、同社のBI(ビジネスインテリジェンス)ツール「MotionBoard」に生成AI(人工知能)機能を追加した新バージョンを発売すると発表した。同年12月20日から提供開始を予定し、価格は6万円/10ユーザー(税別)からとしている。
10秒でダッシュボードを作成可能 新しい「MotionBoard」
生成AI版MotionBoardは、ユーザーの指示や会話に応じてインタラクティブにダッシュボードを作成可能な「AIウィジェット機能」を搭載している。従来は1画面あたり半日程度の作成時間が必要だったダッシュボード開発が、同機能を活用することで最短10秒まで短縮できる。また、同機能は入力フォームを含む画面作成も可能で、データを含めた業務アプリケーションの作成も容易に行える。ウイングアーク1st 取締役 執行役員CTOの島澤甲氏は「データとセットで業務アプリケーションが簡単に作成できるのはAI時代で求められている機能だ」と強調する。
従来のMotionBoardには、「集めたデータに対してどのように情報分析をすればいいか分からない」「チャート配置のレイアウトを決めるのが大変」など、ユーザーが作りたいものを決めることが大変だという課題を抱えていた。
また、実際の業務にAIを活用しようとしてもうまく落とし込むことができず、AIの本格的活用に進んでいないのが現状だ。製造業でAI活用が進まないことについて、島澤氏は「CSVデータをAI分析に投げかけても、出力される結果が試行を繰り返すたびに毎回変わることがある。さまざまなパターンの中から情報を取捨選択できるのはAI活用のメリットだが、毎回出力結果が変わってしまうことで安定した業務に落とし込みづらい」と分析する。
この問題を解決するために、新しいMotionBoardではユーザーの見たい情報に応じたダッシュボードを生成する時だけ、AIを活用する仕様としている。与えるデータや情報へのアクセス管理はMotionBoard上で厳密に行う。生成されたプログラムの中でデータ部分だけをMotionBoardで差し替えることができる。これにより、画面を表示するたびにAIを呼び出す必要もなくなり、データが瞬時に表示されて生成コストも掛からなくなる。
ヤンマー建機では、MotionBoardのAIウィジェット機能の活用推進
会見では、MotionBoardの活用事例としてヤンマー建機の取り組みが紹介された。小型ショベルカーを中心に製造するヤンマー建機では、MotionBoardを導入し、さまざまなデータの可視化と活用ができたという。ヤンマー建機 経営戦略部 イノベーション推進部 部長の田中重信氏は「この数年でほぼゼロの状態からデータ活用を進めてきた」と語る。
ヤンマー建機では、社内に存在する多様な情報をウイングアーク1stが展開する「Dr.Sum」に入れて管理するという方針の下、データの可視化と活用をユーザーが主体的に開発できるように進めている。PCを持つほとんどの社員(500人以上)にMotionBoardの権限を与えている。また、同社内のDX(デジタルトランスフォーメーション)専門部隊がDr.Sumに格納されたデータのテーブルや見え方を整備しており、現在では1800個のデータテーブルが生まれ、1500個にも及ぶダッシュボードが作成されているという。「『どんどんみんなで作ろう』と社内でAI活用を促した結果、これだけのデータ活用の仕組みが生まれた。その内の7割は活用できていないが、私はそれでいいと思っている」(田中氏)。
ヤンマー建機では、この「どんどんみんなで作ろう」という考えの下、新しく実装されたAIウィジェット機能の活用も積極的に進めていく方針だ。生産現場の作業者や総務部門などの間接部門も含めてAIを活用することで、帳票作成やBIツールの運用を短時間で作成/活用できる。田中氏は「われわれはMotionBoardの『Data-Jig(データジグ)』機能を活用して、紙の帳票約200枚の内、135枚をデジタル化して運用できた成功体験がある。AIウィジェット機能によりこれらのデジタル化が加速すると期待している」と述べている。
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