Bluetooth SIGが「より良い世界」に向けビジョンを刷新、日本での活動も重視:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
Bluetooth SIGは、コミュニティーの活動内容や拡大するBluetooth搭載機器の市場、新たな仕様の開発状況などについて説明した。
通信速度は4倍の8Mbpsに、5GHz/6GHzの高周波数対応も
「より生産的な世界」向けでは、物流で用いられる資産追跡タグが挙げられる。2025年の出荷台数は2億4500万台だ。また、工場などで予知保全を行いダウンタイム削減を可能にするワイヤレス状態監視センサーについては、2026年までにBluetooth接続機能が45%に搭載されるようになる調査結果があるという。


「よりサステナブルな世界」向けは小売り/流通分野の事例が紹介された。2029年の年間出荷台数の予測として、現在紙が広く用いられている棚札を電子化するBluetooth電子棚札(ESL)が1億3800万台、食品や医薬品などの倉庫での管理を効率化するBluetoothスマートラベルが1億4000万台まで拡大するとしている。「Bluetooth電子棚札はBluetooth SIGへ要望が基になって標準化が進んだ。電子棚札は欧州とアジアで導入が進む一方で北米は対応が遅れていたが、米国小売り最大手のウォルマートがBluetooth電子棚札を北米で採用する方針であり今後市場はさらに拡大するだろう。Bluetoothスマートラベルについてもウォルマートが積極的に採用する姿勢を見せている」(コルドラップ氏)。


コルドラップ氏は、Bluetooth SIGで取り組みが進む50以上の機能強化プロジェクトの中から注目を集める「超低遅延HID」「ハイレゾ&ロスレスオーディオ」「高データスループット」「高周波数対応」の4つの開発状況を紹介した。
超低遅延HIDは、Bluetooth接続のHIDの課題だったレイテンシを改善するものだ。2025年前半で最初の仕様が発表されており、2026年後半には次の仕様が発表される予定だ。ハイレゾ&ロスレスオーディオは、より高音質な音声データを取り扱えるようにする取り組みだが、そのために求められるのが通信速度を従来の2Mbpsから8Mbpsに伸ばす高データスループットの取り組みだ。これら2つの仕様については2026年後半に発表される予定である。また、Bluetoothの周波数帯域は2.4GHzだが「非常に込み合っている」(コルドラップ氏)こともあり、5GHzと6GHz帯への拡張が検討されているという。
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