レゾナックがアンモニア原料を「プラごみ由来水素100%」に、2030年稼働:リサイクルニュース
レゾナックが、川崎事業所で製造するアンモニアについて、使用済みプラスチック由来の水素のみを原料とする方針を固めた。
レゾナックは2025年10月6日、川崎事業所(神奈川県川崎市)におけるアンモニア事業において、使用済みプラスチック由来の水素のみを原料とすることで、アンモニアの低炭素化を図ることを決定したと発表した。この設備は2030年4月に稼働する予定だ。
今回の施策は、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行のための低炭素水素などの供給および利用の促進に関する法律に基づく「価格差に着目した支援」(以下、価格差支援)の対象事業として2025年9月30日付で経済産業省に認定された。価格差支援へは、レゾナックが製造しているアンモニアを利用している日本触媒と共同で申請した。
川崎事業所では、「使用済みプラスチックをガス化ケミカルリサイクルすることで得られる水素(以下、使用済みプラ由来の水素)」と「都市ガスを改質することによって得られる水素」を原料にして、アンモニアを製造/販売している。なお、同社ではプラスチックケミカルリサイクル事業を川崎プラスチックリサイクル(KPR)事業と呼称しており、その事業を行う施設をKPRプラントとしている。
今回の施策により、使用済みプラ由来の水素のみを原料にしてアンモニアを製造することで、同社の国内生産アンモニアの低炭素化を目指す。既存プロセスを基盤としながら、新たなプロセスの開発/導入により、実現する計画だ。また、使用済みプラスチックに加えて使用済み衣料も原料としてアンモニアを生産する実証実験を2024年に開始した。これにより、アンモニアの誘導品であるアクリロニトリルを繊維メーカーなどへ供給することで、衣料の資源循環の実現も目標に掲げている。
こういった使用済みプラ由来の原料100%化により、副生品である炭酸ガスも含め、低炭素化/資源循環が可能な環境価値が高い製品を供給できるようになる。これにより、同社の事業とサプライチェーン全体での産業競争力の強化を目指す。
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