活性炭のPFAS吸着能力などを評価する新サービス、全30成分を一括で分析:材料技術
PFASの除去などで活躍する活性炭の役割が重要性を増している。しかし、その性能評価や、使用後の活性炭にどれだけPFASが残っているかの把握が困難だった。そこで、中外テクノスはこれらの課題を解決するサービスの提供を開始した。
中外テクノスは2025年10月6日、吸着技術開発性能評価や使用後の適切な管理/処分の判断に必要となる、活性炭向けの有機フッ素化合物(PFAS)分析を開始したと発表した。
全30成分のPFAS成分を一括分析可能
消火剤や化粧品、調理器具などの製品に使用されてきたPFASは近年、その毒性や生物蓄積性が環境/健康面で問題視されている。こうした背景から、PFAS汚染対策として活性炭による吸着技術が広く利用されている。活性炭はPFASの除去に有効で、実用性の高い吸着材とされているが、その性能は種類や使用条件によって左右されるため、使用後に残留するPFASの量や性質も一定ではない。加えて、環境への影響を抑えるために、使用済み活性炭の適切な管理と分解処理も求められている。
そこで中外テクノスは、これまでの豊富なPFAS分析の実績を生かして、活性炭中に吸着されたPFASの含有量を高精度で定量化する分析サービスを開発し、提供を開始した。
同サービスは、活性炭が対象物からPFASをどれだけ除去できたかを定量的に調べられる。使用済み活性炭におけるPFASの残留量を確認し、処理判断が必要かを明らかにして、廃棄方法を決定することにも対応。処理判断とは、PFASの残留量が基準を超過した場合に環境省が定める対策を行って処分することを指す。さらに、処理後にPFASが残留していないかを確認し、分解処分の有効性も評価できる。
今回のサービスでは、粒状石炭系活性炭、粉状石炭系活性炭、粒状ヤシ殻活性炭のPFAS分析に応じている他、規制対象のペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)/ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOA)を含む全30成分のPFAS成分を一括分析できる。
PFASの抽出には、固体試料から目的の化合物を効率的に取り出す「ソックスレー抽出法」を採用している。ソックスレー抽出法は、振とう/超音波抽出と比べて、PFOSなどの抽出率が高く、回収率を上げられる。
分析精度に関して、定量下限値の目安は0.5ng/gとなる。分析納期について、通常は試料到着から15営業日で分析結果を報告する。
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