出口は見えたか、DMG森精機担当役員が語る欧州市場の行方と工作機械の将来:EMOハノーバー2025(2/2 ページ)
DMG森精機 執行役員 DMG MORI EMEA North担当 兼 Chief Sales and Service Officerのハラルド・ノイン(Harald Neun)氏が欧州最大級の工作機械展示会「EMO Hannover 2025」の会場で合同取材に応じ、欧州の工作機械市場の景況感や自動化の動向などについて語った。
幅広い提案で自動化ソリューション搭載機の割合を50%へ
―― 欧州における自動化のニーズは高まっていますか。
ノイン氏 欧州で競争力を保つために自動化が鍵であり、必要不可欠だと確信している。
「EMO Hannover 2025」では2つの方向性の自動化を提案した。1つ目は、簡単で使いやすい自動化ソリューションだ。これは主に中小企業に向いている。2つ目は、大企業などのターンキープロジェクト向けの完全自動化ソリューションとなる。もちろん、それらを組み合わせたようなソリューションも提供できる。
私が15年前に入社した時は、自動化ソリューションを搭載した機械の販売は全体のわずか5%ほどだった。今ではその割合は20%以上になっている。機械を単独で稼働させるユーザーはどんどん減ってきている。われわれは、2030年までに割合を50%まで高めることを目指している。
回復は既に始まったか、ドイツ市場の今後の見通し
―― 今後の事業展開で何を重視しますか。
ノイン氏 工作機械のライフサイクル全体にわたるサポートの重要性が増しており、われわれはグローバルでサポート体制の強化に投資している。
ユーザーが機械を迅速に使いこなし、問題が起きた時には即座に解決できるように、ユーザー向けポータルサイトである「my DMG MORI」のコンテンツの充実を図っている。
もう1つは、ソフトウェアデファインドだ。将来的には例えばギア加工のソフトウェアを購入することで、既存の工作機械にも機能追加できるようにしたい。
―― ドイツ市場の回復の見通しはいつごろですか。
ノイン氏 今回のEMO Hannoverでも、ドイツの状況を見極めようとしているユーザーもいれば、ドイツ政府の企業投資促進制度を活用して機械を購入しようとしているユーザーもいた。
ドイツの市況自体は底を打ったと感じている。コロナ禍でも景況感が悪化し、その後急速に回復したが、今回はよりゆっくりと回復するだろう。ただ、もう回復は始まっていると確信している。
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